この記事は
「文中で出てくる動詞が過去形なのか、それとも過去分詞なのか判断できないことがあります。特に過去形と過去分詞が同じ形をしているものが最悪で、文中にたくさん出てくると正直戸惑ってしまいます。うまく見極められる方法は何かないでしょうか?」
と悩んでいる英文リーディング学習者に向けて記事を書いています。
● みなさんこんにちは、まこちょです。
英文中に使われてる単語が動詞の過去形なのか、それとも過去分詞なのかわからないとは間違いなく英文解釈に影響する「緊急案件」です。
なぜって、もし動詞の過去形と過去分詞の見分けがつかないとしたら、以下のような英文ですら、リーディングに悩んでしまうであろうから。
例
The company required…
このたった3語の英文の出だしですら、このrequiredが動詞の過去形がそれとも過去分詞か分からなくなるわけです。
The company(S) required(V)…
とrequiredを動詞(V)の過去形として英文を読んでいくのか、それとも
The company (required…)
required以下をThe companyを修飾する過去分詞として読んでいくのかはこの3語だけでは判断できません。
これはreqiureが過去形と過去分詞が「同じ形」をしているから起こる悩みですよね。
これが以下のような形だったらおそらく英文解釈について悩む方は全くいないのではないでしょうか。
The letter written…
これは一目見てwrittenが過去分詞とわかりますよね。なぜならwriteは「過去形」と「過去分詞」の形が違うからです。
writtenは過去分詞ですので、どう頑張っても「過去形」にはなれません。ということはもしThe letterが英文の主語になったとしても
The letter (S) (written… ) +(V)
とwrittenの箇所以降に動詞(V)が出てくることを予測する「構え」になれるということです。
このように、動詞の過去形と過去分詞が「同じ」ということは思った以上に英文リーディングに影響を及ぼすということが分かるかと。
では、The company required…のような状況になったとき、もっと言うと過去形と過去分詞が同じ形をしているものをしっかりと見分ける方法はどうやってすればよいのでしょうか?
実はいくつか方法があるんです。
そこで今回は、文中に出てきた動詞が過去形なのか、それとも過去分詞なのかをしっかり見分ける方法について徹底解説します。
以下の記事を最後まで読んでいただくと、次の点であなたの英文解釈能力は段違いに向上します。
ぜひマスターして今後の英文リーディング学習にお役立てください。
英文中の「過去形」と「過去分詞」を見分ける3つの方法
英文中に出てくる動詞が過去形か過去分詞かを見分ける方法はいくつかあるのですが、もちろんみなさんは英文を読んでいる最中ですから、なるべく手間のかからない方法が望ましいわけです。
できることならさらっと優雅に(?)読んでいきたいですからね。
ただどの方法も、問題の動詞の箇所【だけ】をじ~っと見ていても判断できません。どうしても前後の兼ね合いで決まりますので、その点はご了承いただきたいと思います。
そこで今回は誰でも簡単に判断できる方法から、ちょっと玄人(?)好みの見分け方まで順にご紹介したいと思います。
みきわめ方(初心者編①)⇒ 後ろに「受け身」を表すbyがある
まずは何といってもこれでしょう。【問題の】動詞の後ろに「~によって」を表すbyがある場合は、高確率で「過去分詞」だと判断できます。
例
My bicycle required by Ken was stolen.
この文章ですがMy bicycleから英文を読み始めると当然、
My bicycle required…
この時点でrequiredが動詞の過去形なのか過去分詞なのかは、正直【わかりません】。身もふたもないのですが、こういう時は慌てずに読み進めていきましょう。そう心に保留しておくのです。すると
My bicycle required by Ken…
by Ken「ケンによって」という「受け身」のサインが出てきます。したがってrequiredは過去分詞と判断できます。My bicycleにrequired by Kenの部分をかけていき
My bicycle ⇐ [required by Ken] was stolen.
後ろのbe動詞wasを発見していきます。「ケンによって修理された私の自転車が盗まれた」
例
The works made by the artist sold well.
↓
The works ⇐[made by the artist] sold well.
「その芸術家によって作られる作品はよく売れる」
みきわめ方(初心者編②)⇒ 主節の動詞は基本1つ
これも比較的ポピュラーな判断方法なのではないでしょうか。
さりげなく英文を読んでいるとつい見逃してしまうことなのですが、主節の英文は接続詞・関係詞などの節がない限り、動詞は必ず1つになります。
例えば次のような英文ですが、
例
This is a cake baked by my mother.
「これは母が焼いたケーキです」
この文は全体を見渡してみたらわかるのですが、この英文に接続詞や関係代名詞はまったくありません。
英文中の動詞と接続詞・関係詞の数には奇妙な関係がありまして、どんなに長い英文でも、次の法則に従って書かれています。
この英文には接続詞・関係詞が「0」なのですから当然動詞はたった1つしか文中にない、ということが分かるわけです。
つまりこの文はisかbakedかのどちらかが「動詞」ということになりますよね。
また動詞は動詞でも以下の動詞は「確定動詞」です。
【この動詞の形があったら100%動詞】
- ①be動詞
- ②助動詞のついた動詞一般
- ③一般動詞の「現在形」
したがって今回の例文はisが「動詞」でbakedが「動詞以外」になるわけです。
This is(V) a cake ⇐ [baked by my mother].
みきわめ方(中・上級編③)⇒ 動詞の後ろの形に注目する
最後はちょっとレベルの高い動詞の見きわめ方です。それは動詞の後ろに「名詞」があるかどうか注目してみるという方法。
動詞が「他動詞」の場合、必ず後ろに「名詞」がなければなりません。主節の文は「完全な文」といって、必要な要素が必ず全部そろっていなければならないんです。
例えばdiscuss「~について議論する」は有名な他動詞です。したがって通常、discussを「動詞」で使う場合は以下のように使います。AとBをそれぞれ「名詞」とすると、
A discuss B
「AはBと議論する」
例
We discussed the problems.
「我々はその問題について議論した」
ところが「他動詞」を過去分詞として使った場合、後ろにあるはずの「名詞」がなくなるんです。どうしてなのか分かりますか?
英文中で使う過去分詞を使った用法の代表格は「受動態」ですが、受動態は能動態の目的語(O)、つまり動詞の後ろの名詞を主語の位置に持っていきます。
結果的にdiscussedの後ろから名詞が消える形になるわけですね。
We discussed the problems.
↓
The problems were discussed (by us).
「その問題は私たちによって議論された」
↓
The problems ⇐ [discussed (by us)]…
「私たちによって議論された問題…」
つまり「他動詞」であるにも関わらず、後ろに「名詞」がない場合は、過去形ではなく「過去分詞」である可能性が高いということになるわけです。
ただし、この見きわめ方は非常に難しいです。まず前提として動詞が「他動詞」か「自動詞」か分からないといけませんから。非常にハイレベルな見分け方と言えるでしょう。
例
Children accepted the thoughts accepted in the country.
acceptは「他動詞」で、動詞で使うならA accept B「AはBを受け入れる」という形で使います。前半のacceptは後ろに名詞the thoughtsがあるので「動詞の過去形」として使われていますが、後半のacceptedは後ろに名詞がありません。つまり「過去分詞」で使われているんですね。
Children accepted(V) the thoughts ⇐ [accepted in the country].
「子供たちは国で受け入れられている考え方を受け入れる」
以上のことを踏まえながら、今回の課題英文に挑戦してみましょう。驚くほど過去形と過去分詞の見分けができて感動するかもしれません。
過去形と過去分詞の見分けに関する演習問題
The economic miracle achieved in Japan after World War Ⅱ would have been impossible but for the effort made by the Japanese.
【単語・表現】
- economic miracle「経済の奇跡」
解説
「経済の奇跡は第二次世界大戦後の日本で達成した」
ここまで読むといかにもachievedは「動詞の過去形」に見えますよね。もちろん英文リーディングに慣れていない方はこの時点では「過去形」と判断しても構いません。というかしょうがないじゃないですか(笑)
ですが次に登場する形をみて、瞬時に考え方を変えることができるということが重要なんです。
助動詞がついた動詞は「確定動詞」です。したがってこちらのwould have beenがこの英文の「動詞」ですので、主節の動詞は基本英文中に「1つ」というルールにしたがって、achievedを「過去形」ではなく「過去分詞」と判断し
と読みを修正できるのが英文リーディングの実力というものです。文の初めに出てくる、前置詞のついていない名詞は文の主語(S)として読むのは基本でしたね。
訳「第二次世界大戦後に日本において成し遂げられた経済の奇跡は、…不可能だっただろう」
主節の主語(S)と動詞(V)を見つける方法があいまいな方は以下の記事を確認してみてください。主語と動詞がスムーズに発見できるようなら、英文解釈の半分は終了したも同然です。
「日本人によってなされた努力がなかったならば」
would have beenと「助動詞の過去+have+過去分詞」は「仮定法過去完了」のサインです。今回は「仮定法」の詳しい話はオミットしますが、「仮定法」には必ず「条件」の箇所が必要です。
今回は後ろのbut for以下が「条件」の役割をしています。「前置詞句」扱いになりますので、後ろのthe effortとワンセットとなります。
全訳「第二次世界大戦後に日本において成し遂げられた経済の奇跡は、日本人によってなされた努力がなかったならば不可能だったことだろう」
あとがき
今回は文中で使われた「過去形」と「過去分詞」の見分け方について解説させていただきました。
この2つの違いを見分けるパターンは3つありますが、今回の記事順でいうと①②のやりかたで判断していくのが実践的かと。
英語学習の過程で動詞の語法が強くなってきたら、英文解釈の確認のために③の見分け方を導入してみるとますます「確実な」英文解釈ができるようになります。
「分詞」についての学習方法がさっぱり分からない!方は以下のボタンをクリックしてみましょう。分詞の学習手順が一から分かります。
「分詞構文」を集中して徹底的に学習したい人は以下の記事をのぞいてみてください。分詞構文のつまづきやすい点と学習手順がはっきり分かります。
また会いましょう。
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