この記事は
「英語にはイディオムなどで『動物』を含んだ表現が多いようにも見えるのですが、【ネズミ】含まれた英語表現ってどんなものがあるのでしょうか?教えてください!」
という英文リーディング学習者に対して記事を書いています。
●こんにちは、まこちょです。
英文を読んでいるといきなり動物が文脈に関係なく登場したりして、私たち英語リーディング学習者を困らせることがあります(笑)
ですが英語表現に「動物・植物」などが絡んだイディオムは実は多く、ある程度は知らないと英文解釈上困難になる場合も。いくら動物の単語が英文に出てきたからといって「あら?ネコが話に出てきたぞ?」なんて思ってしまっては困ります。
皆さんは、英語のことわざや慣用句にネズミが多く登場することをご存知ですか?実は、ネズミ以外にも犬や猫など、動物が使われた英語の表現は数多く存在します。
そこで今回はそんな「動物を使った表現」第一弾として、今回は来るネズミ年に向けてネズミを使った英語の表現をご紹介します!
名付けて「動物表現イディオム」。楽しんで英文リーディングにお役だてください。
そもそも、ネズミを英語で言うと?
これはもう皆さんご存知、mouseですよね。でも、今回ご紹介する表現にmouseはほとんど出てきません。
もう一つネズミを表す単語であるratが多く使われます。皆さんはmouseとratの違い、分かりますか?
mouseの日本語訳を調べてみると、「ハツカネズミ」という訳が出てくることがあります。ハツカネズミとは、クマネズミ属を改良したもので、小さくて可愛らしく、ペットとして飼うようなネズミです。
一方のratは、サイズ感もmouseに比べるとより大きく、野生のドブネズミといった、やや汚らしいネガティブなイメージ。rattyと形容詞にすると「みすぼらしい」「荒れ果てた」という意味になります。
笑い話の一つとして、アメリカのホテルに宿泊した日本人が、その部屋でネズミに遭遇した時にフロントに「mouseが出た」と伝えたら「違う、ratだ」と言われた、というものもあります。
mouseとrat、この違いを知っておくと、以下で紹介する表現への理解も深まりますよ!では以下にどんな表現があるのかを見てみましょう。
be trapped like a rat 「袋のネズミ」
例
He was trapped like a rat.
「彼はもはや袋のネズミだった」
ネズミを使った慣用句、日本語だと真っ先に思いつくのが「袋のネズミ」。逃げ場がないことのたとえですね。
be trappedで「罠にかかってしまう」、like~で「~のように」ですので、直訳すると「彼はネズミのように捕まってしまった」となります。
捕まりやすい、更には捕まってしまうと身動きが取れなくなってしまうのは、全世界のネズミに共通するんですね。
like a drowned rat 「びしょ濡れになる」
例
He came home looking like a drowned rat.
「彼はびしょ濡れになって帰宅した」
先ほどと同様、likeを使って「ネズミのように」と表現しています。日本語でも、びしょ濡れになることを「濡れネズミになる」と言いますね。
drownは「溺れる」、更には「溺死する」という意味の単語。「溺死したネズミのよう」だなんて、なんて過激な表現なんでしょう!
また、ゲリラ豪雨などの突然の雨でびしょ濡れになってしまうと、テンションも下がってしまいますよね。そこから、この表現は「ひどく落胆して」という意味も持っています。
さて、ここまでは日本語でもネズミが使われている表現をご紹介しました。続いては、mouseやratに「ネズミ」以外の意味を持たせる表現をご紹介します。
smell a rat 嫌な予感がする、怪しむ
例
She smelled a rat when her husband came home with lipstick on his collar.
「彼女は、夫がシャツに口紅をつけて帰宅した時に嫌な予感を覚えた」
決して、旦那さんのシャツからネズミの匂いがしているわけではありません(笑)
ネコがネズミの存在をその匂いで察知することから、この表現が生まれました。日本語でも、ドラマなどで刑事が容疑者を怪しんでいるときに「におうな……」と言ったりしますよね。怪しい事柄に対して何かしらの匂いを感じるのは世界共通なんですね。
rat on 「密告する」
例
His accomplice ratted on him.
「共犯者は彼のことを密告した」
名詞のイメージが強いrat、なんと動詞として使えるんですね!動詞になると、「密告する」「裏切る」という意味になります。
例
I heard she rat out on Mike.
「彼女、マイクのことチクったみたいだね」
とoutを使うこともあります。これは、家事などの危険に遭遇するといち早く逃げ出すことから来ています。
名詞のratにも、「裏切り者」「スパイ」「詐欺師」という意味があります。
例
Rats desert a sinking ship.
「ネズミは沈みかけた船を見捨てる」
(自分が属していた組織の危機を我先に見捨てる人々やその様子のたとえ)ということわざもあるほど。
汚らしいイメージのあるratですが、更にひどい汚名を着せられてしまいましたね。
rat race 「競争社会」
例
I can’t stand being in this rat race.
「この競争社会には耐えられないよ」
ネズミはとてもすばしこく、競争心が旺盛な動物。そんなネズミが、何かを目指して我先にと競争しているイメージを持つこの表現、「きりがないばかげた競争」という意味でも使われます。
あまりいい意味では使われないんですね。ここでもやはり、ratの持つネガティブなイメージが生きています。
いかがですか?同じネズミでも、英語の世界では日本とは違ったイメージを持たせているんですね。
最後に、日本語では全く別の動物を使っている表現を2つご紹介します。対応する日本語の慣用句を思い浮かべながらご覧ください!
as quiet as a mouse 「とても大人しい」
例
Look! He is as quiet as a mouse.
「見てよ!あいつ超静かだぜ」
冒頭でもご紹介した通り、mouseはおとなしい動物です。そこから、時には「臆病」という意味を持たせることも。
今回のこの表現は、as 形容詞 as ~「~と同じくらい」という、中学英語でもお馴染みのフレーズを使って「ネズミのようにおとなしい」と表しています。
さて、日本語ではどんな動物が使われているでしょう?……そうですね、「借りてきたネコ」という言い方をします。日本語ではネコが使われている表現が英語圏に行くとその敵対関係にあるネズミが使われるなんて、とても面白いですね。
play possum 「死んだ/寝たふりをする」
例
I played possum and listened attentively to their conversation.
「私は寝たふりをして、彼らの会話に聞き耳を立てた」
possumとは、フクロネズミというネズミのことです。危険な時に死んだふりをする習性から、「死んだふりをする」「寝たふりをする」という意味のこの表現が生まれました。
「寝たふりをしている様子」を、日本語では何と言いますか?……そう、「狸寝入り」と言いますね!狸とネズミ、なかなかイメージが結び付かないですね。
また、この表現は「とぼける」「知らないふりをする」という意味で使われることもあります。
例
I’ll probably play possum about it.
「僕は知らん顔するだろうけどね」
ネズミを使った英語表現:まとめ
いかがでしたか?日英共通のイメージで使われているネズミもいれば、全く想像もしなかった意味で使われているネズミもいましたね。
皆さんのネズミ年も、今回ご紹介した表現のようにバリエーションに富んだ一年になりますように!
またお会いしましょう。
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