この記事は
「英語にはイディオムなどで『鳥』を含んだ英語表現が多いようにも見えるのですが、いったいどんなものがあるのでしょうか?教えてください!」
という英文リーディング学習者に対して記事を書いています。
●こんにちは、まこちょです。
英文を読んでいて困るのは、特有の文化に基づく慣用表現。特に動物の名前を含んだものは、我々日本人がその動物に対して抱いているイメージとは違っていることも多く、知らないと理解に苦しむことも。今回ご紹介する「鳥」を含んだ英語表現もそうですね。
文法や単熟語の知識同様、「教養」として身に着けておきたい「動物表現イディオム」、第二段は「鳥」が登場するものをご紹介します。
「鳥」を含んだ英語表現で勘違いしやすいものはこれだ
まずは英文中でよく見る「鳥」の英語表現をご紹介します。
① chicken「小心者、臆病」
例
They are chicken.
「あいつら腰抜けだな」
小心者や臆病であることを馬鹿にする表現のchicken。日本語でも「チキン野郎」という言い方をするなど、お馴染みですね。若者の間やSNSなどでは「チキる」、更にはchicken→ひよこと派生させて「ひよる」と動詞として使うことも。
でも、そもそもなぜ小心者=chickenなのでしょうか?
この表現、元々はchickenheartedというフレーズでした。
例
How chickenhearted you are!
「お前めっちゃビビりだな!」
鶏の心臓は人間の人差し指の先くらいのサイズしかなく、とても小さいんです。そこから心臓が小さい→気が小さい と解釈されるようになり、chickenという一語でも使われるようになりました。
ちなみにこの表現はネガティブな意味合いとして使われます。悪口になってしまいますので、気心の知れた仲で使いましょうね。
いい意味で「慎重だね」と言いたいときには、you are cautious(careful). という表現が使えます。
② dovish / hawkish「穏健派/急進派」
例
The candidate for president is dovish.
「その大統領候補者は穏健派だ」
政党の色や性格を表すこの二つの表現は、それぞれdove=鳩/hawk=タカ が語源です。「ハト派」「タカ派」という言葉を聞いたこともある読者もいらっしゃるのでは?
doveは、鳩は鳩でもpigeonとはちがい、祝いの場で飛ばす白い鳩のことを指します。平和の象徴と考えられており、そこから穏やか、平和主義というイメージにつながりました。
また、戦争に反対している立場の人を指すこともあります。一方のhawkはその好戦的な習性により急進派、過激派を表します。
このdovish/hawkishは形容詞なので、先の例文のような使いかたをしますが、「ハト派」のように、直接的にdove(s)/hawk(s)と名詞で使うこともあります。
例
He is a leading hawk of the United States government.
「彼は合衆国議会のタカ派のリーダーだ」
鳩やタカに対するイメージは、我々日本人のそれと共通しているので理解がしやすいですね。また、これらの表現は金融政策に対する姿勢を形容するときにも使われます。
政治や経済に関するトピックはリーディングの題材としても出題されやすいので、ぜひ知っておきたい表現です。
③ early bird / night owl「朝型、早起き/夜型、夜更かし」
例
The early bird special menu is only available until 10am.
「モーニングスペシャルメニューは10時までです」
いきなり英文中で出てきても「早い鳥ってなんだ?」と思わないでください!これは、The early bird catches the worm.「早起きの鳥は虫を食べることができる」ということわざが由来になっています。
日本語でいうところの「早起きは三文の徳」ですね。英語圏ではearly bird sale=朝市という看板なども見ることができます。
また、朝かどうかは関係なく、他の人よりも先に行動して得をすることもearly birdで表現することができます。
例
At AEON supermarkets, osechi sets at an early bird discount are selling well.
「スーパーマーケットのイオンでは,早期割引付きのおせちセットがよく売れている」
そんなearly birdの対義語がnight owlです。
例
I’m a night owl.
「僕夜型なんだよね」
これも、「僕は夜のフクロウだ」なんて中二病的…もとい詩的に訳さないでくださいね。
夜型はowlと具体的なのに朝方がbirdとどこか抽象的なのも面白いですね。夜に行動する鳥は限られているけれど、朝に行動する鳥は数多いる…ということなのでしょうか。
この他にも、夜行性の鳥の名前が使われた表現があります。
④ as blind as a bat「盲目的な、見えない」
例
Without his glasses he is as blind as a bat.
「眼鏡がないと、彼は何も見えない」
bat=コウモリは夕方から夜にかけて活発に動きまわる動物です。コウモリには昼行性のコウモリもいますが、一般的にイメージされるのは夜行性のもの。
この夜行性のコウモリは視力が弱く、微量の光を探知する程度。超音波や聴力を頼りに行動しているんです。そこから「目が見えない」という意味を持つようになりました。
ここで「コウモリは鳥類ではなく哺乳類だよ」とツッコめたあなたは英語だけでなく生物の勉強もきちんとできている方です。素晴らしい!(笑)
それはさておき、動物表現イディオムでは、as ●● as ~=~のように●● という比較の同格表現が多く使われます。この表現は直接的に比喩を表してくれるので、慣用表現として覚えずとも訳すことさえできれば理解はできます。
また、この表現が使われる場合の動物に対するイメージは、我々が抱いているイメージと共通していることも多いので意味を想像することも容易です。
しかし、全てが今回のように易しいわけではありません。
時々、She is as happy as a clam.「彼女は貝のように幸せだ」という一見よくわからないフレーズにも遭遇します。(これは諸説ありますが、貝は殻に守られているため、安心できる=幸せだとみなされているようです。)
訳したその先の、その文化ならではの物事の捉え方を知るのも勉強になりますね。
⑤ a little bird told me「小耳にはさむ、人伝に聞いた」
例
A little bird told me (that) he’s getting married?
「小耳にはさんだんだけど、彼結婚するんだって?」
直訳すると、「小さな鳥が教えてくれた」という意味になるこちらの表現、なんてメルヘンな世界観なんでしょう!小さい女の子がこんなことを言っていたら、可愛さ100倍増しですね。
情報の出どころをぼやかしたいときや大事な話の前置きとして使える表現です。文法としてはその後に接続詞のthatが続いていますが、会話ではほぼほぼ省略されます。(ですので今回は()で括っておきました)
日本語でも、同じような表現がありますね。「風のうわさで聞いたよ」というやつです。改めて考えてみると、この表現もなかなかに可愛らしいですね。
風がそっと運んできてくれるのか、はたまた鳥がくわえて持ってきてくれるのか。文化は違えど、どこからともなくやってくる情報は爽やかなものなのかもしれませんね。
鳥を使った英語表現:まとめ
さて、鳥の名前を含んだ英語表現、いかがでしたでしょうか。
英語学習に苦しくなったら、Be as free as a bird!鳥のように自由な心で、興味が持てるところ、楽しめるところから英語に触れていきたいものです。
そんな皆さんの「興味が持てるところ」になれるよう、このシリーズではまだまだ動物表現イディオムを扱っていきますので、今後もぜひお楽しみに。
またお会いしましょう。
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