
「英語はよく「省略」されますが、いったい省略構文の種類はどのくらいあるのでしょうか?」
この記事はそれに答えた内容になっています。
●いつもありがとうございます、まこちょです。
英語は同じ言葉を連続して使うのを嫌うのはみなさんも先刻ご承知かと思います。名前ですら2回目に登場するときは「代名詞」を使って表現するのが普通ですからね。
まだ代名詞で表現されるならまだしも同じ言葉の繰り返し(重複)を避けるという意味で、2回目以降は「省略」されるなんてザラです。
また、省略は「重複」が原因で省略されるばかりではありません。中には「慣用的」に省略されるパターンもあり、ここまでくると省略のパターンを知らないと英文リーディングに支障をきたしそうなものまであるんです。
そこで今回は英語の省略構文は一体どういったパターンがあるのかを完全網羅!この記事を確認するだけで英語の全省略が分かるようにまとめてみました。非常に細かくなりますがぜひ以下の省略パターンは押さえておくようにしましょう。
英文中に出てくる「省略」の全パターンはこれだ
語句の重複を避けた省略パターン
まずは1文の中に繰り返し語句が出てくるのを防ぐための省略パターンをご紹介します。この場合は、文脈から前後関係が明白な場合にわざわざ繰り返す必要がないので省略されるんですね。
このパターンは前後の主語、動詞、目的語、補語など、とにかく重複箇所は手当たり次第(?)省略されます。これらの重複している箇所が省略される場合は以下のポイントをしっかり守らなければなりません。
【重複箇所の省略のルール】
- ①書かなくても分かる場合
- ②前の文に共通箇所が必ずある場合
この上のルールをなければ、例えば書くのが面倒くさいといった理由で語句を省略することはできません。
① 主語の省略
例
Ken said she was my real mother, but (she was) actually not (my real mother).
「ケンは彼女が本当の母親だと言ったが、実際はそうではなかった」
② 動詞の省略
例
I like dogs, and my sister (likes) cats.
「僕は犬が好きだけれど、妹は猫が好きです」
例
Some fish live in rivers and others (live) in the sea.
「川に住んでいる魚もいれば、海に住んでいる魚もいる」
③ 助動詞の後ろの動詞が省略
助動詞(haveやcanなど)の助動詞は動詞の原形を置く(haveの場合は過去分詞)と決まっているため、動詞以下が前文と同じ場合は丸ごと省略される場合があります。
知らないとそうとう動揺しますので、パターン学習は必須です(笑)
例
Read as clearly as you can ( read ).
「できるだけはっきりと読みなさい」
例
I’ll gladly pay for the hotel, if you will (pay) for the meal.
「君が食事代を出してくれるつもりなら、僕は喜んでホテル代をだそう」
助動詞の後ろが省略されたパターンを集中して学習したい場合は以下の記事がおススメ。最後には英文解釈問題もありますので、じっくり取り組んでみてください。
④ 主語と動詞の省略
なんと主語と動詞が両方省略されるときだってあるんです。もちろん前文にしっかりと省略部分があることが前提ですよ。
例
His comment made Peter happy, but (it made) Carol angry.
「彼の批評でピーターは喜んだが、キャロルは怒った」
● 時・条件・譲歩を表す副詞節の中の「S+V」は要注意
またこの主語と動詞の省略ですが、副詞節中の主語とbe動詞はよく省略されるパターンとしてしっかりと押さえておきましょう。whenやif、thoughなどの接続詞の後ろでよく省略されます。
もちろん条件があり、次のことを守っていないと省略できません。
【接続詞(従位接続詞)の後の主語とbe動詞の省略条件】
- ①主語が主節の主語と同じ
- ②動詞がbe動詞
例
When ( he was ) young, he was weak.
「 若い時は彼は体が弱かった」
例
She was sleeping as if ( she were ) a dead man.
「 彼はまるで死人のように眠っていた 」
例
I can’t think anything when (I am) depressed.
「落ち込んでいる時は、何も考えられない」
接続詞の後ろの主語と動詞が省略されるパターンは英文解釈上非常に重要な箇所。以下の記事で具体的に攻略していますので、ぜひ確認してみてください。
⑤ 補語の省略
例
He was more ambitious for power than we thought to be(ambitious).
「彼はわれわれが考えた以上に権力志向の人間であった」
なお、この補語が省略されるパターンで特に注意したいのが、比較級表現とともに使われるthanやasの後ろが省略されるパターンです。
比較級表現は、比較級にした語句を、asやthan以下には書いてはいけないというルールがあるので、必然的にas / than以下は省略が起こります。
場合によっては主語(S)と動詞(V)+補語(C)の部分が丸ごと省略されることもあるの注意が必要です。
例
He is more energetic on the baseball field than (he is energetic) in the classroom.
「彼は教室にいるときよりも野球をしているときのほうが元気がある」
以下の記事で比較級 as / thanの後の省略パターンをはっきり学習することができます。
⑥ 代不定詞
代不定詞って何?と思った方もいらっしゃるかもしれません。不定詞句というのは「to+動詞の原形」で表現するのが普通ですが、この「toの後ろには必ず動詞の原形が来る」という性質を利用した省略になります。
例えば次の例を見てください。
例
I didn’t dance with him, because he didn’t ask me to.
askはask A to doという形で使えるのですが、後ろのtoが不定詞のtoにもかかわらず、動詞の原形以下が表示されていません。
もちろん次のような考えでto以下が省略されているんです。
- ①toの後ろの動詞の原形以下が、前の文と重複している
- ②不定詞のtoさえ残しておけば、後ろの動詞以下が「省略」されているのが自動的に分かる
したがって例文は本来こういう形だったんですね。
I didn’t dance with him, because he didn’t ask me to (dance with him).
「私は彼とは踊らなかったわ。彼のほうから申し込んでこなかったからよ」
※注意
ちなみにこの「代不定詞」ですが、なんと原形不定詞(toのない不定詞)でも省略できるのは押さえておいたほうが良いでしょう。いや、これは盲点じゃないですか?
原形不定詞を使う代表的な動詞はmake / have / letなどの使役動詞がありますが、例えばmake A 原形不定詞の不定詞箇所が省略される場合があるということです。
例
We wanted to play on the bank, but mother wouldn’t let us ( play there).
「僕たちは土手で遊びたかったのに、母がどうしてもだめだと言ったのです」
代不定詞について具体的な学習をしたい方は以下の記事を読んでみてください。
⑦ 文脈から判断できる語句全部
これはまた…ずいぶん範囲が広そうですが(笑)実は英語は文脈から推測可能な箇所は、主語とか目的語とか言わずに大胆に省略して削りとることができます。
例
“Is she guilty?”
“I hope (that she is) not (guilty).”
↓
“I hope not.”
「彼女は有罪なの?」
「そうでないことを願うよ」
ちなみに上記の文はなぜnotだけ残っているのかというと、否定語のnotは省略できないというルールがあるからです。
慣用的な「省略」パターン
ここまでは「重複」が絡んだ省略のパターンについてご紹介しましたが、次からは「慣用的」に省略されるパターンについてご紹介いたします。
① thatの省略
まずは何といってもこれ。英文中のthat節のthatは本当によく省略されます。まとめると
【thatの省略】
- ① 動詞の目的語になる名詞節のthat
- ② SVCのCがthat節の場合
- ③ It is ~that構文のthat
- ④ so~that / so that構文のthat
例①
I think (that) he is a teacher.
「彼は先生だと思う」
例②
The fact is (that) she is ill.
「実は彼女は病気なのです」
例③
It is strange ( that ) we should meet here.
「こんなところで出会うなんて不思議ですね」
It is in China (that) he killed her.
「彼が彼女を殺したのは中国だ」
例④
The teacher had so many students (that) he could not remember their faces.
「その先生はとてもたくさんの生徒を持っていたので、彼らの顔を思い出すことが出来なかった」
You should study hard (so) (that)you will be able to pass the exam.
「あなたは試験に通ることができるよう、一生懸命勉強すべきだ」
※so that構文はthatではなくsoの方が省略されることもあるのは注意しましょう。
② It is / there is (are)
英文中のIt isやThere is(are)が省略されることもあります。意外と英文中でよく見る形ですのでしっかりパターンを押さえておきましょう。
例
If (it is) necessary, I will he help you.
「必要なら、お手伝いしますよ」
If necessary「必要なら」は頻出表現ですね。
例
(It is) no wonder (that) such a wise man would succeed.
↓
No wonder such a wise man would succeed.
「そんな賢い男が成功するのは不思議ではない」
例
Correct errors, if ( there are ) any ( errors ).
「誤りがあれば訂正しなさい」
③分詞構文のbeingの省略
分詞構文は文頭がbeingで始まるときには慣用的にbeingを省略することが多いようです。これを利用した入試問題などもありますので注意しましょう。
例
(Being) hungry then, I finished my job to the end.
「あの時お腹がすいていたけれど、最後まで仕事を終わらせた」
④ 最上級 / if・though節の前のeven
これは盲点です。なんと英文中のevenが省略されることがあるんです。例えば以下の英文などevenの省略を知らなかったら大誤訳をするところですよ。
例
The wisest man sometimes makes a mistake.
「最も賢い男は間違いを犯す場合がある」?
上記の例文は最上級を用いた表現なのですが、そのまま訳すと非常に変な訳ができあがりますよね。こんな時は最上級の前にevenが省略されていますので補うと
Even the wisest man sometimes makes a mistake.
「最も賢い男でさえ間違いを犯す場合がある」
またeven if / even though「たとえ~だとしても」、even after「~の後でさえも」、even when「~の時でさえも」のevenも省略されます。
次の文なんてevenが省略されていると気づかなかったら相当訳出に苦労するのでは?
例
The heat didn’t ease (even) when the sun went down.
「日が沈んだけれども、熱さは和らがなかった」
④ 命令文の主語You
命令文というのは、必ず対面の「あなた」に対して行うものです。
したがって基本的に主語は「You」になるはずですので、通常は慣用的にYouは「省略」されます。決して主語がないわけではないので注意しましょう。
例
(You) open the window.
「窓を開けてください」
⑤ 目的格の関係代名詞 / 連鎖関係詞節など
目的格の関係代名詞(whom / which / that)は慣用的に省略されることが多いのは知っている方も多いかと思いますが、連鎖関係詞節はたとえ主節の関係代名詞でも省略できることは盲点ですね。
例
The woman (whom / that) I saw yesterday was his wife.
「私が昨日であった女性は彼の妻だった」
連鎖関係詞節というのは、関係代名詞の後ろがS+V+Vの形をしていますが、実は2つ目の動詞の前に接続詞のthatが省略されているんです。
例
I saw a man who I thought (that) was a friend of my father’s
ちなみにこの連鎖関係詞はなんと関係代名詞の方も省略することが可能です。
I saw a man (who) I thought was a friend of my father’s
「父の友人だと(私が)思った男性を私は見かけた」

⑥ The 比較級 S+V~, the 比較級 S+V…のbe(become)動詞
The 比較級 S+V~, the 比較級 S+V…は「SがVすればするほど(ますます)SがVだ」と訳します。比較級の構文として有名ですよね。
ところがこの構文、Vにbe動詞やbecomeなどが使われたとき、動詞が省略されることが多いんです。例えば
例
The larger the audience (is), the better the profit (becomes).
「聴衆がたくさんあればあるほど、利益は上がる」
とそれぞれの動詞を省略することが出来ることを覚えておいてください。
⑦ peopleの省略
peopleという単語は英文の中でも比較的多く見かける単語かと思うのですが、実はこの単語、バンバン省略されます。
有名なのはthose who ~「~する人々」ですが、これだってthose (people) who ~ とpeopleが省略されているんですね。
例
Those (people) who were present were glad to see him.
「出席者は彼を見て喜んだ」
このpeopleが省略されるパターンは非常に多く、一度気合を入れて学習しなければならないくらいです。当ブログでも以下の記事でがっちりまとめていますので、一度確認してみることをおススメします。
省略の種類:まとめ
さて、今回は英語で起こりうる「省略」についてまとめてみましたがいかがでしたでしょうか。
おそらくまだまだ省略されるケースはあるかと思われます(おい)。この記事はまとめ記事になりますので、もし他の省略パターンが見つかったら随時更新していきますのでよろしくお願いします。
また会いましょう。
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