この記事は
「不定詞の3用法の見分け方がよく分かりません。この3用法を区別するための簡単なコツみたいなものを教えていただけるとありがたいのですが…」
と悩んでいる英文リーディング学習者に向けて記事を書いています。
● みなさんこんにちは、まこちょです。
不定詞は形こそ「to+動詞の原形」で簡単なのですが、3つの用法があり、これが英文中に出てくると、どの用法を使えばよいのか悩んでしまう方は結構多いです。
しかも不定詞の3用法は性質が全く異なるので、英文中で間違った解釈をしてしまうと大変です。
本来意図した英文の意味とは全く異なる訳が完成して、気づかずに読み進めてしまうと困ってしまいますよね。
ところが不定詞の3用法は、コツをつかむととても簡単に見分けることができるんです。
そこで今回は英文中に出てきたto不定詞を迷わないで見分けるコツをあなたに教えます。
非常に誤訳率が高いこの不定詞の3用法、簡単な見分け方をマスターしていただいて、正確な英文解釈ができるようになってくださいね。
この記事を読むと以下の点であなたの英文リーディング能力は大幅に向上します、
▶不定詞を含む英文を正確にリーディングできるようになる
不定詞の3用法を簡単に見分ける3ステップ
不定詞の3用法とは、具体的にいうと「名詞(的)用法」「副詞(的)用法」「形容詞(的)用法」の3つの用法を指します。
もちろんこれら3つの用法を一つ一つ覚えていくのは手間がかかりますし、しかも結構細かいです。まず忘れちゃいますよね。
そこでこの3用法を簡単に見分ける最初のステップは、3用法の「品詞」に注目することから始めてみましょう。
たとえば「名詞(的)用法」「副詞(的)用法」「形容詞(的)用法」はそれぞれ「名詞」「形容詞」「副詞」と品詞が分かれているのですが、この3用法、実は以下のように捉えることができます。
- 名詞 ⇒ 文の一部(S / O / C)になる
- 形容詞・副詞 ⇒ 修飾語句。文の一部にならない(M)
これが何か?と思ってはいけません(笑)この文の【一部】になるかどうかは、不定詞の3用法を見分けるうえで欠かすことのできないポイントです。
例えば、不定詞の名詞用法は文の一部でS / O / Cになるのですから、この不定詞句を文中から取ってしまうと、残った英文はとても英文と呼べないような中途半端な形が残るということになります。
それに対して、不定詞の副詞用法と形容詞用法は、文の一部として(S / O / C)として使われることはありません。
したがって、仮に不定詞句の箇所を文中から取り除いたとしても、後にはSVOCの文型が崩れていないしっかりとした文が残ることになります。
このように3用法を見分けるときは、まずは不定詞の固まりが文の一部になっているかそうでないかを確認することが必要であることをまず押さえましょう。
では各用法を細かく見ていきましょう。
不定詞の名詞用法
不定詞の名詞用法は「~すること」が訳の基本。
そして名詞用法は文の一部になります。具体的には不定詞の固まりが以下のポジションに収まるはずです。
【名詞用法の不定詞句のポジション】
- 主語(S)
- 目的語(O)
- 補語(C)
ちょっと細かく見てみましょう。
①主語(S)になる
[To V…] +V~ 「[…することは] Vだ」
例
To collect stamps is my hobby.
「切手を集めることは私の趣味です」
to collect stampsの部分がisの主語(S)になっています。もちろんこの不定詞句の箇所を文中から取ってしまうと
is my hobby.
と英文として非常に中途半端な形が残ることになります(ちなみにこういった英文の一部が必要なのにないこういった文を「完全な文」と呼びます)。
② 目的語(O)になる
S+V+[to V…]「Sは[…をすることを]Vする」
例
I decided to carry out my plan.
「私は自分の計画を実行することを決めた」
不定詞句が動詞decideの目的語(O)として機能しています。やはり不定詞句の箇所を取ると
I decided
うーん、やはり中途半端(笑)
③ 補語(C)になる
S+V(be動詞)+[to V…]「SはVすることだ」
主にbe動詞の後ろに不定詞句が来て、補語(C)として機能しているものもあります。ポイントとしてはS=to Vの関係が成り立っているところですね。
例
Her goal is to pass the exam.
「彼女の目標はそのテストに合格することです」
Her goal = to pass the examの関係が成り立っているところをしっかり押さえましょう。ちなみにこの形も不定詞句の部分を取ると
Her goal is
と思わず「なんじゃこりゃ?」と騒いでしまいそうな形が残ります。
「疑問詞+to V」の形は見た瞬間に「名詞用法」と決め打ちする
to不定詞の前に疑問詞がついている形があるのですが、この形は「名詞用法」しかありません。したがって見た瞬間に、英文中のS / O / C /前置詞のOのどれかになっていることを確信していただいて構いません。
例
I don’t know what to do next.
「次に何をすべきかわからない」
what to doがknowの目的語(O)として機能しています。
例
When to call him isn’t decided.
「いつ彼に電話したらいいかは決まっていない」
when to call himの箇所がisn’tの主語(S)として機能しています。
※参考 疑問詞+to Vの種類
- what to V 「何をVすべきか」
- which to V「どちらをVすべきか」
- where to V「どこでVすべきか」
- when to V 「いつVすべきか」
- how to V「どれほどVすべきか・Vする方法」
このように不定詞の「名詞用法」は文の一部分になっている!ということをしっかり理解しておきましょう。
不定詞の「形容詞用法」と「副詞用法」
この2つは文の一部分(S / O / C)にならない、という点で同じです。ですがそれぞれ使い方が異なりますのでちょっとまとめておきます。
形容詞用法
- 前の名詞を修飾する
- 名詞 ⇐ [to V…]
- 意味「~するための・~するべき・~するという【名詞】」
不定詞の形容詞用法は前の名詞を修飾します。もちろん文の一部分にはなりませんから、仮に不定詞句の部分を根こそぎ取っても後にはSVOCの型が崩れていない「完全な文」が残ります。
例
He bought a book to give her.
「彼は彼女にあげるための本を買いました」
大事なことは、仮にto不定詞以下を文中から取り除いたとしても、後には、文型的な矛盾がない「完全な文」が残ることです。
He(S) bought(V) a book(O)
例
You have no time to study English.
「英語を学習する時間がない」
↓
You have no time ⇐ [to study English].
不定詞句がtimeを修飾しています。やはりto以下をとっても後にはしっかりとした文が残っているのが特徴的ですよね。
You(S) have(V) no time(O)
ここが不定詞の名詞用法と根本的に違うところで、英文解釈上、非常に分かりやすいポイントになります。
なお形容詞用法の英文解釈の方法を具体的に知りたい方は以下の記事で集中的にまとめています。ぜひ確認してみてください。
副詞的用法
不定詞の副詞用法も形容詞用法と同じで、英文中の要素(S/V/O/C)にはならないことが特徴になります。
したがって不定詞句の箇所を文中から省いても後には「完全な文」が残るのも形容詞用法の時と全く一緒です。
では不定詞の「副詞用法」と「形容詞用法」はいったい何が違うのでしょうか。下のまとめで確認してみましょう。
【不定詞の形容詞用法と副詞用法の違い】
- 形容詞用法 ⇒前の名詞を修飾する
- 副詞用法 ⇒ 名詞【以外】を修飾する
なんと副詞用法は名詞【以外】だったら何でも修飾するんです。これって思った以上にやっかいですよね。それは範囲が広すぎるためなのです。
したがって副詞用法はたくさんの意味を持つことになります。具体的には以下のような種類がありますので、少しずつマスターしていきましょう。
【不定詞の副詞用法の種類】
- 目的「~するために」
- 感情の原因「~して」
- 判断の根拠「~なんて・~とは」
- 条件「もし~なら」
- 結果「(そして)~になった」
- 形容詞にかかる
なんとこんなに用法・意味があるんですね。英語学習者にとって不定詞の副詞用法をマスターするのはリーディング上の登竜門(?)となるのもうなずけます。
例【目的】
He went to the library to study Japanese.
「彼は日本語を勉強するために、図書館に行った」
↓
He(S) went(V) to the library.
例【感情の原因】
I’m glad to see you again.
「君に再び会えてうれしい」
↓
I(S) am(V) glad(C).
例【判断の根拠】
He must be fool to do such a thing.
「そんなことをするなんて、彼は馬鹿にちがいない」
↓
He(S) must be(V) fool(C)
例【条件】
To see him run, you might think him an athlete.
「もし彼が走るのを見たら、君は彼がスポーツ選手だと思うかもしれない」
↓
You(S) might think(V) him(O) an athlete(C)
※文頭の副詞句のto不定詞は、「目的」か「条件」の意味になるのですが、「条件」の意味になるときは主節に推量の助動詞(will[would] / may[might] / can[could])などを伴うことが多いことも覚えておきましょう。
文頭のto不定詞の処理の仕方について具体的に学習したい場合は以下の記事が参考になります。
例【結果】
He grew up to be an excellent soccer player.
「彼は成長して素晴らしいサッカー選手になった」
↓
He(S) grew up(V)
それにしても副詞用法は意味が多くて本当に悩んでしまいますよね。
不定詞の副詞用法の種類を英文中でしっかりと見分ける方法は、以下の記事で具体的に解説しています。最後のリーディング問題で学習成果を確認してみるとよいでしょう。
不定詞の3用法をお手軽に判断する手順
ここまで3用法のそれぞれの意味について解説してきましたが、ここからは実際に英文を読んでいるときに、to不定詞を見つけたらどのような手順で頭を巡らせていけばよいかを説明します。
この判断方法は意味の分類が多い不定詞のような用法では特に効果的。英文を読んでいるときに無意味に悩まないためにもぜひ手順を確立しておくと良いでしょう。
【文中で不定詞に出会ったら】
① まず、不定詞句が英文の要素(S / O / C)になっているかどうか確認する
↓
② 英文の要素になっていたら「名詞用法」⇒ 「~すること」の訳を基本にする
↓
③ 英文の要素になっていなかったら、その不定詞句は「形容詞用法」か「副詞用法」かのどちらか。以下の基準で判断する
↓
- 前の名詞を修飾している ⇒ 形容詞用法「~するための・~すべき」を訳の基本にする
- 名詞以外を修飾している ⇒ 副詞用法 ⇒ 非常に意味が多彩。「目的」を主意味として考える
この手順がベストでしょう。ただしこの手順にも注意点があります。
※注意!:前に名詞があるからといって必ずしも不定詞句がその名詞を修飾するとは限らない
英語リーディング学習者がよくする質問に「to不定詞句の前に名詞があったら全部『形容詞用法』として前にかけても良いですか?」というものがあります。
結論から言ってしまうと、その考えは間違っています。例えば以下の例文を見てください。
例
I went to the library to prepare for the test.
いくらto prepare…の前にthe libraryと名詞があるからといって、the library ⇐ [to prepare… ]と欠けてはいけません。
もし前のthe libraryにかけてしまったら「テストの準備をするための図書館」となってしまい違和感がありますよね。
ここは「テストの準備をする【ために】図書館へ行った」とto不定詞句を「目的」の副詞的用法で訳したほうがしっくりいくのは明白です。
あとがき
今回は不定詞の3用法を効率よく見極めるコツについて解説しました。
ポイントは「不定詞句が英文中で文の一部になって活躍しているかそうでないか」です。この見極めがしっかりできるようになると英文解釈で不定詞の処理について悩むことを大幅に減らすことができるようになります。
ぜひマスターして、今後の英文リーディング学習にお役立てください。
また会いましょう。
コメント
まこちょ先生、ありがとうございました。私は何時もいっぱい教えて頂いて
最高に感謝しています。とても分かりやすくて最高です。
よろしくお願いいたします。
服部直美様
いつも当ブログを読んでいただきまして誠にありがとうございます。質問等がございましたら、ぜひこちらにご連絡いただけたらと思います。私のわかる範囲でお答えいたします(わからない時はごめんなさい(笑))