この記事は
「不定詞の副詞用法って意味がたくさんあるので英文解釈で結構大変です。特に注意すべきポイントみたいなものはありませんか?」
と悩んでいる英文解釈学習者に向けて記事を書いています。
●こんにちは、まこちょです。
英文中に出てくる不定詞は3用法あり、英文解釈のときにはそれらを使い分けなければなりません。英文リーディングをしている方にとってはまったく厄介な箇所と言ってもよいでしょう。
不定詞の3用法を英文中に見分ける方法は以下の記事で解説しています。ちょっとしたコツで不定詞の「名詞用法」「副詞用法」「形容詞用法」を判別する方法が分かります。
そして不定詞の3用法のなかで、とりわけ意味と用法が多いのが「副詞用法」です。用法が多いせいか、英文解釈で比較的間違いが多い箇所なのはまぁ当然ですよね。
そこで今回は不定詞の副詞用法で、特に注意すべきポイントと解釈のコツを徹底的に掘り下げて解説しようと考えています。やはりやられっぱなしではいけませんよね(笑)
以下の記事を最後まで読んでみてください。その結果次の点であなたの英文解釈能力は大幅に向上するはずです。
▶このときは「副詞用法」ではないとはっきりわかるようになる
ぜひマスターしていただいて今後の英文解釈学習にお役立てください。
不定詞の副詞用法は意味が多彩
不定詞の副詞用法は意味が多彩で、そのために覚えるのも一苦労。ざっと挙げてもこれだけあるんです。
【不定詞の副詞用法の種類】
- 目的「~するために」
- 感情の原因「~して」
- 判断の根拠「~なんて・~とは」
- 条件「もし~なら」
- 結果「(そして)~になった」
- 形容詞にかかる
う~ん…結構あるなぁ。そりゃ不定詞の副詞用法が忌み嫌われるのも納得ですね(笑)
副詞用法を端からまんべんなく覚えていくことは大変ですが、英文中ではこの副詞用法すべてが均等に使われるというわけではありません。
したがってまずはよく出る副詞用法から押さえていくとモチベーションを保ちつつ学習することができます。
副詞用法の大半は「目的」か「結果」用法
まず不定詞の副詞用法に関して、英文中で目にする可能性が極めて高いものは「目的」か「結果」用法です。
特に「目的」の用法はよく出ますので、まずはこの用法からきっちり押さえるのが効率が良いでしょう。
目的「~するために」
例
I went to Hawaii to see my friend.
「私は友達に会うためにハワイに行きました」
また、不定詞は3用法なんて言われているからわかるように用法がたくさんあります。したがって無用な混乱を避けるために、副詞用法の「目的」は、toの前にin orderやso asなどをつけて、「このto不定詞は『目的』で訳してね」と教えてくれる場合もあるんです。
上の例文だと
I went to Hawaii to see my friend.
=I went to Hawaii in order to see my friend.
=I went to Hawaii so as to see my friend.
と3つの形で同じ意味を表すことができます。
※注意①※
このto、in order toやso as toは「~するために」と訳すのですが、この表現にnotがついた場合、それぞれ
in order not to V
so as not to V
not to V
と表現して「~しないように」とすることができるのですが、not to Vだけは「Vしないように」の意味にならないことに注意!
not to Vは「Vしないこと」と名詞用法になってしまうのは、解釈上気をつけるべきポイントです。
例
I decided not to play tennis.
「私はテニスをしないことを決めた」
※注意②※
主節の文に「will(would) / may(might) / can(could)」などが使われている場合、to Vを「目的」に訳すのではなく「条件(もし~ならば)」と訳すようにしてみましょう。
例
To see her sing, you might think her a singer.
「もし彼女が歌うのを見たら、君は彼女が歌手だと思うかもよ」
例
My mother would be glad to hear my promotion.
「私の昇進を聞いたら、母は喜びます」
文頭のto不定詞の解釈方法についてもっと具体的に知りたい方は以下の記事がおススメ。あっさりとリーディングがスマートに行えるようになりますよ!
「結果」の副詞用法
「目的」ときわめてよく似ている用法に「結果」の副詞用法というものがあります。これも英語学習者にとっては鬼門らしいですね(笑)
結果の不定詞はto不定詞の前の内容を受けて「その結果~」とto以下の内容につなげる用法です。
例
He grew up to be a doctor.
彼は大人になって、そして(その結果)医者になった」
例
The man left the town never to return.
「その男は町を離れ、そして二度と戻ってこなかった」
A never to B 「Aしてそして二度とBしなかった」
例
I prepared for my vacation only to get called into work.
「休暇の準備をしたが、職場に呼び出されるだけの結果となった」
A only to B「Aしたが結局Bだった」
この不定詞句は「目的」か「結果」か
上記のようにA never to BやA only to Bなどの形は、独特の形をしているのですぐに「結果」の副詞用法だと判断できるかと思うのですが、不定詞句によってはこれって「目的」なの、それとも「結果」なの?と判断に悩む形があったりします。
ここでちょっと「目的」と「結果」の違いについてまとめておきますね。
【to不定詞の目的と結果の違い】
- 「目的」⇒ to以下の内容を【あらかじめ意図していた場合】
- 「結果」⇒ to以下の内容を【事前に意図していなかった(もしくは意図できなかった)場合】
例
He came here to study English.
「英語を勉強するためにここに来た」
この文の赤いところは「英語を勉強するために」です。この部分は事前に意図していることが分かるので「目的」で訳しましょう。ところが
例
I awoke to find myself in a hospital bed.
「目が覚めたら病院のベッドにいた」
の場合は赤い箇所は【事前】に意図できません。「病院のベッドにいるのが分かる【ために】目が覚めた」わけないですからね(笑)こんな時は「結果」用法で訳すのが良いでしょう。
「結果」用法の不定詞句は接続詞+S+Vに書き換えが可能
また「結果」用法の不定詞句は接続詞+S+Vに書き換えができるというのもポイントが高いです。上記の例文はそれぞれ
He grew up to be a doctor.
=He grew up and he was(became) a doctor.
The man left the town never to return.
=The man left the town and he never returned.
I prepared for my vacation only to get called into work.
=I prepared for my vacation but I got called into work.
と書き換えることができることが「特徴」の1つです。
※注意※「目的」か「結果」か判断ができないものもある!?
例えば以下の例文なのですが、このto不定詞は「目的」でしょうか「結果」でしょうか。
例
I worked hard to get promotion.
結果「懸命に働いて昇進した」
目的「昇進するために懸命に働いた」
上記の文は、これだけでは「結果」の用法なのか「目的」の用法なのか判断することはできません。このように一見しただけでは、どちらかを特定することができないものもありますが、こういった場合は文脈に依存するしか方法がありません。あまり神経質にならないようにしましょう。
感情の原因と判断の根拠
感情の原因を表す不定詞句のポイントは、必ず不定詞toの【前】に感情を示す「形容詞」「分詞」「動詞」があることです。
その場合、to Vを「~して」「~できて」と訳すとバッチリですね。
例
He was excited to watch the game.
「彼はその試合を観て興奮した」
例
I am happy to see you again.
「再びあなたに会えて幸せだよ」
ですから上の例文を以下のように表現してはいけません。
× To see you again, I am happy.
このルールがあるから、文頭のto不定詞の処理は2パターンか解釈方法がなくて楽になれるんです。
判断の根拠の場合もto不定詞の【前】に人の性格を表す名詞や形容詞・分詞などが必要で「~なんて」と訳します。
例
You are so powerful to do such a thing.
「そんなことをするなんて、あなたってとてもパワフルだよね」
例
You were really wise not to obey his advice.
「彼の忠告に従わないとは、君って本当に賢かったな」
以上の点を踏まえながら、以下のリーディング問題にトライしてみましょう。びっくりするくらい不定詞の副詞用法で動じなくなります。
副詞用法の演習問題
The same thing, to happen in a crowded place, would have been a serious accident.
【単語・表現】
- a crowded place「人込み」
- serious accident「深刻な事故」
解説
「同じこと【が】…」
The same thingと「名詞」からスタートしているこの文、もちろん前置詞などついていませんので、主語(S)としてとらえていくのが正しい解釈です。
「前置詞のついていない、一番最初に出てきた名詞は、英文の主語になる」というルールは英文を前から読み進める際の超重要なルールですね。
英文の主語(S)と動詞(V)を効率よく見つける方法は以下の記事を参照してください。
もちろん主語(S)を見つけた以上、それに対応する動詞(V)を見つけようと読み進めるのが基本です。ですがその前に「カンマ(,)」で挟まれた「挿入句」が現れました。
文中に「挿入」箇所が出てくると、英文リーディング読みに慣れてない方は慌ててしまうかと思うのですが対処法は簡単です。
まずはカンマで挟まった箇所を文中から省いてみましょう。すると
とThe same thingの動詞(V)があっさり見つかります。「挿入箇所はいったん外して、前後をつなげる」はセオリーとして覚えておくと威力を発揮しますよ!
挿入についてどっぷりと英文解釈の練習をしたい方は以下の記事を読んでみてください。挿入についての恐怖があっという間になくなります。
ところで上記の赤い動詞部分なのですが、「would have 過去分詞」と特徴的な形をしていますね。
今回は詳しいお話はオミットしますが、この形は助動詞の過去形が入っていて「仮定法過去完了形」と呼ばれる形をしています。下の例文を見てください、同じ形がありますよ。
例
If I had known your address, I would have written to you.
「あなたの住所がわかっていたら、お手紙を出したのですが」
この「仮定法」という形なのですが、絶対に譲れない箇所があるんです。それは「条件」の部分が必要であること。ここではif節の部分がそれに当たりますね。
そう、もうお分かりかと思うのですが、今回の課題にもwould have been(V)があります。ということは「条件」に当たる部分が必ず必要ですよね。
そう、その「条件」に当たる部分をto不定詞の部分で補うことができるんです。今回は「挿入」の部分のto不定詞が条件の役目を果たしているんですね!分かった人はお見事です。
全体訳「もし人込みの中で起きたなら、同じことが深刻な事故になっていただろう」
あとがき
今回は不定詞の「副詞用法」について英文解釈上の注意点についてまとめてみました。
特に「目的」と「結果」の処理の違いについてはしっかり理解しておいてください。非常によく似てますので、訳すときにはそれなりの根拠が必要でしょうね。
また会いましょう。
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