この記事は
「it is~that構文が強調構文なのかそれとも仮主語構文なのか、今一つ判別方法がよく分かりません。この2つを判断する方法はありますか?」
と悩んでいる英文リーディング学習者に向けて記事を書いています。
●みなさんこんにちは、まこちょです。
It is~that..の形は英文リーディングによくみられる形なので、しっかりと英文解釈のルールを理解しておかなければなりません。
その中でもitが「代名詞」ではない場合、つまりはitに「それ」といった訳語がないときは注意が必要です。
当ブログでも文頭のitについては以前に記事としてまとめたことがありますので、今回のit is ~thatの形を攻略する前に確認していただいたら幸いです。
今回はit is~thatの構文のなかでも「強調構文」と「仮主語構文」の見分け方についてポイントを絞って徹底解説!一見全く同じ形に見えるこの2つですが、しっかりと使い分けることができると英文リーディングの頼もしい武器になってくれます。
以下の記事を読了すると、次の点であなたの英語力は改善します。
ぜひマスターしていただいて、明日の英文リーディング王(?)のきっかけになれれば幸いです。
it is ~thatの文は「~」の部分に注目して判断する
it is ~that構文が「強調構文」か「仮主語構文」かを正確に判別するには2パターンの方法があります。まずは比較的簡単なほうから見ていきましょう。
なお以下の文はitが代名詞ではないことを前提に解説していますのでご了承ください。
it is 形容詞 that …の時 → 仮主語構文
まず第一パターンは、it is ~that構文の「~」にどんな品詞があるかによって判断するというもの。非常に簡単ですのでまずはまずはここからマスターしていきましょう。
It isとthatの間に「形容詞」が挟まっている場合は「仮主語構文」で決まりです。
例①
It is obvious that Jim loves Mary.
「ジムがメアリーを愛しているのは、明らかだ」
例②
It is difficult that he becomes a teacher.
「彼が先生になるのは難しい」
この2つの例文は、it is とthatの間にobvious / difficultと「形容詞」が挟まっています。したがってこの2つの例文は「仮主語構文」と分かるわけですね。
もちろんItは「仮主語」ですので「それ」と訳してはいけません。that節以下の部分を真主語として訳すことになります。
it is 分詞 that…の時 → 仮主語構文
またit isとthatの間に「現在分詞(~ing)」「過去分詞(~ed)」が挟まっていたら、これも「仮主語構文。非常に簡単ですね。
例③
It is said that he is ill.
「彼は病気だと言われている → 彼は病気だそうだ」
it is 副詞 that ~の時 → 強調構文
それに対して、「~」の箇所に「副詞(句・節)」が挟まっていたら強調構文になります。
例④
It was yesterday that I met him.
「私が彼に出会ったのは昨日であった」
この副詞が間に挟まっている強調構文ですが、注意点が2つほどあります。以下の点に注意しましょう。
【It is 副詞 that…の強調構文の注意点】
- ① 挟まっているのは「副詞1語」だけとは限らない
- ② of + 名詞は「形容詞」扱いになる場合がある
例えば注意点①ですが、「副詞」と一言にいっても、2語以上で副詞【句】や副詞【節】になる場合があるんです。
そうすると自然にit is とthatの間が広がることになり、it is ~ that構文が見分けられなくなってしまう場合があるので注意が必要ですね。
例⑤
It was only by chance that I knew his name.
「私が彼の名前を知ったのは、ほんの偶然によるものだった」
→ only by chanceは副詞句
例⑥
It was when I came home that he arrived at the station.
「彼が到着したのは、私が帰宅した時であった」
→ when I came homeは副詞節
また「前置詞+名詞」で副詞句を作るパターンですが、「前置詞+抽象名詞」の時は注意が必要。of+ 抽象名詞で「形容詞」扱いになるものがあるのです。次の例を確認してみてください。
例⑦
It is of importance that all of us agree on the matter.
↓
It is important that all of us agree on the matter.
「その問題について私たち全員の意見が一致していることが大切だ」
of + importanceは「of+抽象名詞」の形ですが、これはimportantと同じです。したがってこの文は「仮主語構文」なので注意しましょう。
このように一部は注意すべきところがありますが、そこさえ注意すれば、It is 前置詞… またはIt is 接続詞…といった形を見たらすぐに「強調構文だ!」と決め打ちして英文リーディングをして何ら問題ありません。
ちなみにIt is 形容詞・副詞 that…ですが、that以下の文はどこも欠けのない「完全な文」が来ることもしっかり押さえておきましょう。
ここまでは単純に間に挟まっている品詞を見るだけで仮主語構文か強調構文かを判断できたのですが、次のパターンはそうはいきません。なぜならIt is 名詞 thatまでは両方同じ形をしているからです。
It is 名詞 that…は「…」の箇所に注目する
「名詞」が間に挟まっているときは、that以下の文の形に注目します。したがって先ほどのパターンよりも明らかに難易度が上がるんですね(笑)
仮にthat以下の部分をAとすると、Aの次の点をチェックしなければなりません。
【It is 名詞 that Aの見分け方】
- ①Aが「完全な文(名詞の欠けがない文)」→ 仮主語構文
- ②Aが「不完全な文(名詞の欠けが1つある文)」→ 強調構文
例⑧
It is a pity that Mary couldn’t join our party.
「メアリーが私たちのパーティーに参加できなかったのは残念だ」
that以下の文に注目してみてください。動詞のjoinが使われていますが、この動詞は「他動詞」。したがって後ろには名詞が必ず必要です。
ここではour partyとしっかり名詞が後ろにありますので、この青い箇所は名詞の欠けがどこにも見当たらない「完全な文」ということになります。
したがってこの文は「仮主語構文」ということが分かるんですね。
例⑨
It is this article that our professor referred to yesterday.
「教授が昨日言っていたのはこの記事だ」
この文も間に挟まってる品詞が「名詞」ですから、that以下の英文を見て判断するしかありません。
一見どこも名詞の欠けがない文に見えるのですが、前置詞toの後には「名詞」がなければいけません。yesterdayは副詞で名詞ではありませんので、この文はtoの後ろに名詞が1つ欠けていると分かるわけです。
ちなみこの時点で、「前置詞の後ろには名詞」って何を言ってるんだ?と思ってしまった人は以下の記事をちょっと寄り道してみましょう。英文中の名詞の使い方がよく分かりますよ!
It is this article that our professor referred to → 名詞なし yesterday.
したがって赤い箇所は「不完全な文」と分かり、この英文は「強調構文」と分かるわけです。
実は挟まっている「名詞」を見て強調構文か仮主語構文か判断できる!?
じつはここまで言っておいてなんなのですが、実はこのIt is 名詞 that…の形、名詞の形を見てある程度は判断できることも知っておきましょう。あくまでも目安の1つとして押さえておくと良いのではないでしょうか。
【It is 名詞 that…の判別】
- ①名詞が不定冠詞や無冠詞(a(n) 名詞など)の名詞 → 仮主語構文
- ②名詞にthe・所有格・this・thatなどがついている → 強調構文
以上のことを踏まえた上で今回の課題英文にチャレンジしてみましょう。びっくりするくらいIt is ~that…の文を読むのに抵抗がなくなっているのを感じるはずです。
It is ~that…の文の練習問題
It is only when a man is able to give up a dream that he has long valued or an advantage that he has long enjoyed that he is set free for higher dreams, for greater advantages.
【単語・表現】
- value「価値を見出す」
- enjoy 「享受する・持つ」
- be set free 「自由になる」
解説
It is when S+Vという形から、It is 接続詞 S+Vとなっていることが分かります。when S+Vは副詞節で「~するとき」ですから、この文は
It is 副詞節….
となっていると。つまりこの文は「強調構文だ」とこの時点で気づけたあなたは立派です。
もちろん後ろにはthat節が控えていることは分かっているので、それを見つけるがごとく英文を読み進めるのですが、ここからthat節がシャレにならないくらい登場してあなたを困らせます(笑)
ですが、It is 形容詞・副詞 thatの後の文は欠ける箇所がない「完全な文」が来ます。この点に注意して読み進めると
that he(S) has long valued(V) →(O)なし
⇒ valueは「他動詞」。後ろに名詞がない「不完全な文」
⇒ 関係代名詞節として前の名詞にかかっている
↓
a dream ⇐[that he has long valued]
「長い間重視してきた夢」
that he(S) has long enjoyed(V) → (O)なし
⇒ enjoyは「他動詞」。後ろに名詞がない「不完全な文」
※ちなみにenjoyは後ろにthat節を取れません
⇒ 関係代名詞節として前の名詞にかかっている
↓
an advantage⇐[that he has long enjoyed]
「長い間保持してきた強み」
that he(S) is set(V) free(C) for higher dreams,
→ set + O + CのSVOC文型のOが前に言った受け身の形。「完全な文」
となっており、全体として
It is only when a man is able to give up a dream ⇐[that he has long valued] or an advantage ⇐[that he has long enjoyed] that he is set free for higher dreams, for greater advantages.
↓
It is (only when a man is able to give up a dream or an advantage) that he is set free for higher dreams, for greater advantages.
と、とらえることが出来た方は完全にこの英文を制圧することができたと言って良いでしょう!
全訳「人は長いあいだ重視してきた夢や長い間保持してきた強みを捨てることができたとき初めて、より高い夢、より大きな強みに向かって解放されるのだ」
あとがき
今回はIt is ~that…は「強調構文」か「仮主語構文」かの判別方法について解説しました。
最後に仮主語構文と強調構文の訳出の違いについて触れておきますが、訳出については両方とも特に区別せず和訳して大丈夫です。
和訳するときには強調部分を後回しに訳すといかにも「強調している!」といった雰囲気は出ますが、後ろに回して訳すことで、全体の訳が不自然になってしまう場合は、あえて無理やり後ろの回す必要はなく、通常の語順で訳しても全然問題がないことも覚えておくと良いでしょう。
ぜひマスターしていただいて今後の英文リーディングにお役立てください
また会いましょう!
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