この記事は
「先行詞にthatやthoseがついていることがあるのですが、これは何でしょうか?しかもこの単語ですが、日本語訳には特に訳されてないのです。訳す必要がないのになぜ先行詞についているのでしょうか?」
と悩んでいる英文リーディング学習者に向けて記事を書いています。
●みなさんこんにちは、まこちょです。
関係詞(関係代名詞・関係副詞)の学習をしていると、当然「先行詞」についての勉強も自然と行うことになりますよね。
先行詞というのは関係詞の前に置く名詞のこと(たまに関係詞から離れている先行詞もあります)なのですが、この先行詞に無意味にthatやthoseなどがついていることがあるんです。例えば以下のような英文などがありがちですね。
例
Lend me that camera which you boast of.
「君の自慢の例のカメラを貸してください」
この文は関係代名詞whichを使った文ですが、よく見てください、先行詞のcameraにthatがついています。ところがこの訳文を見ていただくとおわかりなのですが、別にこのthatを「あの」などと訳されていないのです。
ではこの先行詞についているthatは一体何のためについているのでしょうか?
そこで今回は一見先行詞に無意味についているthe、that、thoseの用法について徹底的に解説します。もちろんこういった言葉がついている以上、ただ何となくついているわけはありません。必ずなんらかの働きを持っているはずです。
以下の記事を最後までお読みいただくと、次の点であなたの英文解釈能力はグレートアップすることは間違いありません。
▶この用法が分かると英文を予測しながら読むことができるようになる
ぜひマスターして、今後の英語学習に役立ててくださいませ。
先行詞についているthe / that / thoseは超役立つアイテム!
先行詞についている一見無駄なものに思えるthe / that / those。実はこれ、私たちが英文リーディングを円滑に行う上で、非常に便利なアイテムです。
この先行詞につくthe / that / thoseのことを後方照応的なthat thoseと呼びますが、まぁ名称は覚えなくてもよいでしょう(笑)大事なことは、このthe / that / thoseの指示形容詞が先行詞につくと、「あること」をみなさんに教えてくれているんです。
例えば先ほどの例を見てください。私たちは通常英文を読む場合、左から右に読みますよね。そうすると以下のように語順が展開されていくわけです。
Lend me that camera…
読む方向 ⇒⇒⇒⇒
そうすると当然「指示代名詞」にあたるthatも読むわけですが、指示代名詞のthatは「あの」ですが、それに対応する箇所が英文に出てきていません。「あのカメラ」ですが、肝心のカメラがこれより前の英文に出てきていないのです。
ちょっと飛びますが、以下のような展開でしたらわかります。
例
I found a book in the bookstore and wanted that book.
「私は書店である本を見つけた。そしてその本が欲しかったのだ」
これでしたらthat bookが指しているのは、その前の英文に出てきた a bookであることは誰でもわかります。というかこれが指示代名詞の本来の使い方ですよね。
指示代名詞のthe / that / thoseは、それに当てはまるものが前の文に出てこないと使うことが出来ないのが基本です(もちろん例外はありますが)。
にもかかわらず、初めて登場した名詞に指示代名詞がつくと、本来の使い方ではなく、ある特殊な用法で使われているんです。
それを別名「予告のthe(that / those)」と呼ぶんですね。
「the(that / those)」とは何を予告しているのか?
つまり平たくいうと、通常の指示代名詞の使い方とは違う用法があるのだ、ということです。「予告のthe(that / those)」と呼びますが、問題は一体何を「予告」しているのか、ということですよね。
「予告のthe(that / those)」は先行詞に後ろから何かがかかる(修飾する)のを前もって教えてくれる用法です。
Lend me that camera…
この文はthatが通常の指示代名詞では使われていないのは、cameraが初めて出てきた単語ですから明らかです。
この時のthatを「予告のthat」といい、後ろからcameraについて何らかの説明が入るということを、この時点で読者に教えてくれているんです。
Lend me that camera ⇐[先行詞についての説明(修飾)が入る]
↓
例
Lend me that camera ⇐ [which you boast of].
ここまでの内容をまとめてみます。
⇒ 先行詞についての説明が【後ろ】から入ることを前もって教えてくれる用法
もう少し例文をご紹介します。みなさんは中学英語のとき以下のような例文を学習しなかったでしょうか?
例
The boy standing over there is Ken.
「向こうで立っている少年はケンです」
このときさりげなく最初のboyにtheがついているのですが、もちろんboyの記述はこの文以外にありませんよね?
そう、実はこのtheも「予告」のtheなわけです。the boyは「その少年」ですが、「その」に当たる部分がこの文以前に出てきていません。したがってこのtheは後ろからboyについての説明を入れますよ、と予告しているtheなのです。
The boy ⇐ [standing over there] is Ken.
ちなみにこの「予告のthe(that / those)」には訳語がありません。ただ単純に後ろから何かが修飾する!と予告しているだけにすぎませんので「その」とか「あの」とか絶対に訳してはいけません。この例文も「その少年」など訳語を当ててませんよね?
⇒ 訳語がない。絶対に「あの・その」など訳さないこと!
もう少し見てみましょう。例えば次の文も初めて出てきたtimeにtheがついていますが理由がわかるでしょうか?
例
The time has come when I must decide my future course.
「進路を決めなければならない時がやってきた」
初めて出てきたtimeにthe。もちろん「予告のthe」で、ちょっと離れた関係詞節は、実はtimeを修飾しますよ、と教えてくれているのです。
those who「人々」のthoseも「予告」
最後に今回の「予告のthe(that / those)」を語るうえで絶対に外せない表現をご紹介します。とはいってもあまりにも有名?なので結構知っている人も多いのでは?
それはthose whoの表現です。
those whoは「人々」と学習したことがあるかもしれませんが、なぜこれが「人々」と訳すかわかりますか?
例えば以下の例文を見てください。
例
Those who are sitting by the tree are my brothers.
「その木の傍に座っている人たちは私の兄弟である」
those whoはもともとthose people who~でwho以下が関係代名詞節です。したがってwho以下が先行詞peopleを修飾しているのですが、よく見るとpeopleの前にthoseがついています。
これが「予告」のthoseというものです。those自体には訳語がありませんが、先行詞peopleに修飾語句がかかるということを教えるためにthoseがついているのです。
それがいつしかpeopleが省略されてthose who~で「~する人々」となったのでした。最近では関係代名詞のwhoと後ろのbe動詞ですら省略された形もよく見ることができます。
例
Those people who are present
↓
Those (who are) present
↓
Those present
「出席者」
例
those involved
↓
those people who are involved
「巻き込まれた人々」
なお英文中のpeopleの省略はよく起こります。以下の記事で完全網羅しましたので、ぜひ確認してみてください。
先行詞につくthat、thoseについてのまとめ
さて、今回は先行詞につくthe / that / thoseについて解説しましたがいかがでしたでしょうか。まとめると以下の点が重要になります。
【先行詞につくthe / that / those】
- ①「予告(後方照応)」と呼ばれる
- ② 後ろから先行詞を修飾する語句がかかることを教えてくれる
- ③ 予告のthe / that / those自体は訳さない
この予告の語句をマスターすると、後ろから何らかの説明がかかることが、普通に読んでいるときに察知することができます。
マスターするとあなたのリーディング向上に頼もしい味方になるでしょうね。
また会いましょう。
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