この記事は
「『名詞+~ing』の形が英文中に出てきたとき、~ingを名詞にかければよいのかどうかわからなくなる時があります。ぜひ『名詞+~ing』の英文解釈方法を教えていただきたいのですが…」
と悩んでいる英文解釈学習者に向けて記事を書いています。
●こんにちは、まこちょです。
英文を読んでいると高頻度で出没する「名詞+~ing」の形。意外に解釈をするときに悩んでしまう英語学習者は多いようです。
ところが、この「名詞+~ing」の英文解釈ですが、実はパターンが決まっており、その数はたった5つしかありません。
そこで今回は文中に現れる名詞+~ingの英文解釈パターンを徹底攻略!絶対に読み方を間違えない処理法を教えます。
以下の記事を読んでいただくと、次の点であなたの英文解釈能力は大幅に向上します。
ぜひマスターして、名詞+~ingをサクッと華麗に英文解釈できるようにしてしまいましょう。
名詞+~ingの解釈パターンは5つ
名詞+~ingの英文解釈のパターンは合計で5つ。どれも極めて頻出で、絶対に身につけなければなりません。
「なんだよ、名詞+~ingなんて、名詞に向かって~ing…の箇所を修飾させるだけだから簡単だろ?」
とか思っている方もいらっしゃるかもしれません。確かに名詞を修飾する~ingは「現在分詞」といって、「~している名詞」と表現すればよいだけなので簡単でしょう。
ところがこの名詞+~ingの形が厄介なのは、~ingが「現在分詞」だけじゃなく「動名詞」の可能性があるところなんですね。
⇒ ~ingは「現在分詞(~している)」だけとは限らない
①名詞+現在分詞のing
②名詞+動名詞のing
の2つがある
また、「名詞+現在分詞の~ing」の形だからといって、前の名詞を修飾するだけとは限らないものもあるんです。
⇒ ~ingは前の名詞にかかるばかりではない
とこのように一言で「名詞+~ing」といってもなかなか英文解釈では「使い分け」をしなければいけないんです。つまり、やっぱり難しいんですね。
そこで以下の記事ではシチュエーションごとに名詞+~ingの形を見ていきます。ぜひパターンごとに~ingの種類を見極めて英文解釈に役立ててみてください。
① 前の名詞を修飾する~ing
例①
The man standing over there is my brother.
まずは最もポピュラーな名詞+~ingの形から学習しましょう。上記のstanding…は前の名詞The manを修飾する現在分詞で「向こうに立っている男性」と訳します。
The man(S) ⇐[standing over there] is(V) my brother(C).
「向こうで立っている⇒男性は私の兄である」
このとき、まちがってもstanding…を「動名詞句」と考えてはいけません。
動名詞句は「【名詞】句」に必ずなりますので、英文中で使われた場合、S / O / C / 前置詞の目的語(O)のどれかに必ずならなければならないからです。
文中の「名詞」は必ず「役割」が与えられるというのは英文解釈上、常に注目しなければならないポイントです。以下の記事を熟読してみてください。
ところが次の英文はどうでしょうか。
②名詞+~ing ⇒ 名詞が現在分詞の「意味上の主語」
例②
Ken returning to our house, we were relieved.
何か先ほどの例②とよく似ていますが、先ほどと同じように、前の名詞にreturning 以下をかけるやり方をすると文法的につじつまが合わないことが起こってしまいます。
試しに例①のときと同じパターンで~ingを名詞にかけてみましょう。
Ken ⇐ [returning to our house], we were relieved.
一見先ほどの例①と同じように見えますが、例①のThe manは主語(S)という役割が与えられていました。試しに赤い箇所を取ってみると、しっかりとどこも間違いのない「英文」が現れます。
The man(S) is(V) my brother(C).
ところが例②の場合は、wereの主語はweがあるんですよね。
Ken(?), we(S) were(V) relieved.
つまり、このKenは名詞のくせに「役割」がないことになります。
とこのように5文型上、つじつまが合わないことが起こってしまうので、この~ingはKenを修飾することができないタイプということが分かりました。
主節の左側にあるものはすべて副詞
ところで、英文は主節の「左側」にあるものについて、ちょっとしたルールがあるんです。それは
というもの。これって何気に英文解釈で役に立つ知識です。
主節の左側は必ず副詞(句・節)になるという点は、以前念入りに徹底検証したことがあります。ぜひ以下の記事に立ち寄っていただければ幸いです。
なぜなら、~ing…が「副詞句」になる場合、それは「分詞構文」しかないからです。
そう、実はこのKenはreturningの「意味上の主語」として機能しているんですね。
Ken returning to our house,…
↓
As (Because) Ken(S) returned(V) to our house,
we were relieved.
「ケンが家に戻ってきたので、私たちは安心した」
③SVOC(第5文型)のCが~ing
「名詞+~ing」の形で、名詞に~ingをかけないパターンは他にもあります。それがSVOCのCが~ingの形。つまり
SVO+~ing
という形ですね。
例③
I saw a man crossing the street.
(引用:まこちょ英語ブログより)
例③の文は知覚動詞seeがSVOC文型を作っている形です。確かにa manとcrossing…が名詞+~ingになっていますよね。
I(S) saw(V) a man(O) crossing(C) the street.
SVOCのOとCは【必ず】「主語と述語」の関係
SVOCの第5文型のOとCには英文解釈上非常に重要なポイントがあります。それは
⇒ Oは必ず主語(~は・が)と訳す
したがってたとえ~ing…の箇所が前の名詞を修飾して意味が取れそうでも【絶対に】~ingを名詞にかけてはいけません。
したがってここは
I(S) saw(V) a man(O) crossing(C) the street.
「私は、ある男【が】道を渡っているのを見た」
と訳すようにしましょう。
SVOCの解釈方法に関しては以下の記事に具体的に公開しております。ぜひ立ち寄っていただければ幸いです。
④ with+O+ ~ingの付帯状況
前置詞のwithの後ろに名詞+~ingと英単語が並ぶことがありますが、この時のwithを「付帯状況のwith」と言います。つまり
with + 名詞 + ~ing
という形になります。
例
Junko was reading the book with tears running down her face.
このとき名詞と~ingの間には、やはり主語と述語の関係がありますので
× with + tears ⇐[running…]
ではなく
◎ with + tears (主)⇒ running…(述)
と訳すようにしましょう。
Junko was reading the book with tears running down her face.
「順子は涙を流しながらその本を読んでいた」
付帯状況のwithについての英文解釈方法は以下の記事がおススメです。
⑤ 動名詞の意味上の主語がついた形
ここまで「名詞+~ing」の形は「~ing」が現在分詞のパターンをご紹介してきましたが、実は「名詞+~ing(動名詞)」のパターンもあるんです。
それは動名詞に「意味上の主語」がついた形ですね。
例
He was proud of her daughter playing tennis.
「彼は娘がテニスをするのを自慢した」
この場合も「テニスをしている娘」と、思わずplaying以下をher daughterにかけたくなりますが、her daughterはplayingの「意味上の主語」ですので、「娘【が】テニスをすること」と主語として訳すのを忘れないようにしましょう。
以上の5つのパターンを踏まえた上で今回の練習問題に取り組んでみましょう。とくにbeingの箇所の処理に気をつけてくださいね。
名詞+~ingの練習問題
The rewards which a man can hope to earn come to depend, not on the skills he may possess, but on these skills being put to the right use.
【単語】
- rewards「報酬」
- possess「所有する」
- put to the right use「適切に利用される」
解説
いきなりThe rewards「報酬」という名詞からスタートするこの文、もちろん文の主語(S)になります。そしてその名詞に関係詞節のwhich節が修飾していますね。
節の切れ目は2つ目の動詞の前までです。
The rewards(S) ⇐ [which a man(S) can hope to earn(V)]
「人が手に入れることを望める報酬は」
come to depend(V)…
「…によって決まるようになっている」
depend は後ろにonをつけてdepend on~「~によって決まる」ですが、そのon以下が、not ~but構文で長くなっています。
つまりここは
The rewards (S) … come to depend (V)
not on A…
but on B…
「…報酬は、AではなくBによって決まるようになっている」
と構造上が捉えられていればバッチリです。
Aの方の解釈は
the skills ⇐ [he may possess]
「その人が持っているかもしれない技能」
Bの方は「名詞+~ing」の形ですが
× these skills ⇐ [being put to the right use]
×「適切に利用されている技能」
ではありません。
冷静に考えてみれば分かるのですが、「適切に利用されている技能」も「所有している技能」の中に入っていますので、これではnot A but B「AではなくてBだ」の相関構文を使う理由がないんです。
そうここは名詞を~ingで修飾するのではなく、名詞が動名詞~ingの「意味上の主語」として機能しているんですね。
つまりthese skills【が】と主語のようにして解釈していくことになります。
these skills(主語) ⇒ [being(述語) put to the right use]
「これらの技術【が】適切に利用されていること」
全訳:「人が手に入れることを望める報酬は、その人が持っているかもしれない技能ではなく、そうした技能が適切に利用されているかによって決まるようになっている(決まることが増えている)」
あとがき
今回は「名詞+~ing」の処理について記事にいたしました。まとめると
【名詞+~ingのパターン】
①名詞+現在分詞
⇒「~している名詞」
②名詞+現在分詞(分詞構文)
⇒「名詞が~する」
③SVO+~ing
⇒「SはOが~しているとVする」
④ with 名詞+~ing
⇒「Oが~した状態で」
⑤ 名詞+~ing(動名詞)
⇒「名詞が~すること」
の5パターンをしっかり押さえて学習してください。いきなりは難しいので少しずつモノにしていきましょう。
また会いましょう。
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