この記事は
「文中にカンマで挟まれていきなり出てくるif節が訳せません。これはいったい何なのでしょうか。if節は『もし~ならば』、もしくは「~かどうか」と訳すと学習したのですが…」
と疑問に思っている英文リーディング学習者に向けて記事を書いています。
● こんにちは、まこちょです。
英文の途中にカンマ「,」を使って語句や文などが割り込んでくることがあるのですが、そういう用法を「挿入」と言ったりします。
この挿入なのですが、英文リーディングに慣れていない初心者の方などは、相当嫌な用法ですよね。
SVOCの型のなかにこの「挿入」用法が入ってくると、例えば動詞と後ろの語句の間に「挿入」されたりして、文型が把握しにくくなり、それはそれは英文が読みにくくなるのです。
例えば次の英文も通常のSVC文型にby contrastなんていう「挿入句」が入っただけで解釈の難易度はグンと跳ね上がります。
例
His sister was, by contrast, one of the best students.
「彼の妹は、対照的に最も優秀な生徒の1人だ」
ただしこの「挿入」という用法ですが、実はパターンが決まっており、ある程度のルールに従って処理すれば難なくクリアすることが可能です。
以下の記事では「挿入」を上手く処理する方法について詳しく解説していますので、ぜひ一度目を通していただければと思います。
ところで、この挿入なのですがカンマに挟まれてif節が紛れ込むときがあるんです。例えば以下のような例文などが典型的ですね。
例
Most of our students, if not all, passed that audition.
このif not allとはいったい何でしょうか?そもそもifは接続詞のはずなのに、なぜ後ろがS+Vの形になっていないのでしょうか。
と英文中に唐突に表れるこのif節(?)を今回は攻略します。以下の記事を読むと、次の点であなたの英文解釈力はグレートアップするでしょう。
▶ なぜif節の後ろに主語(S)と動詞(V)がないのかが分かる
ぜひマスターしていただいて、今後のリーディング学習にお役立てください。
副詞節のifの2つの訳し方
まず英文で出てくる副詞節のifですが、「もし~ならば」の「条件」の訳し方のほかに「譲歩(「たとえ~があるとしても」)の訳し方があることを押さえておきましょう。
【文中のif節の訳し方】
①【条件】「もし~ならば」
②【譲歩】「たとえ~だとしても」
通常の「譲歩」を表すif節は、ifの前にevenがつくことが多いのですが、無いときも多いです。
つねに副詞節のifは2つの訳し方があるということを念頭に英文解釈することが重要ですね。
例
We will carry out the plans (even) if it rains.
「雨天でも決行します」
It is useless (even) if I discuss it with you.
「あなたと議論しても無駄だ」
副詞節の主語(S)と動詞(V)は省略できる
ところで、副詞節のifは他の接続詞と同じように、後ろの主語(S)と動詞(V)を「省略」することが可能です。
もちろん接続詞の後ろの主語(S)と動詞(V)を省略するには、あるルールにしたがっておこなわれるのが大前提です。
ちなみに接続詞の後ろのS+Vの省略についての法則は以下の記事に徹底的にまとめました。英文リーディングをしているとよくあるこの省略、これを機に完全制覇をしておきましょう。
譲歩のif節の場合は主語(S)とbe動詞【以外】のものも省略されることがあるのが厄介です。
例えば次の例を見てください。
例
He speaks ungraciously, if not rudely.
「無礼とはいわないまでも、彼はいやな感じで話す」
通常、接続詞の後ろの主語(S)と動詞(V)は何でも省略できるわけではなく、主節と同じ主語(S)+【be】動詞が省略できるんです。
ところが上の例文では、主語(S)こそ主節と同じですが、動詞は一般動詞(ここではspeak)が省略されているんです。
He speaks ungraciously,
(even) if he does not speak rudely.
そう、このように動詞がbe動詞ではなく、一般動詞でも省略されることがあるのは、接続詞の後ろのS+Vの省略パターンとしては例外中の例外であることはしっかり覚えておきましょう。
例
It is dangerous, if not impossible, for you to cross the river.
「あなたがその川を渡るのは、不可能ではないにしても危険だ」
上記のif not impossibleは
if it is not impossible for you to cross the river
の箇所が省略されており、文脈から「譲歩」の意味で使われているのがわかります。
例
He composes good, if not excellent, haiku.
「彼はすばらしくはないにしてもよい俳句を作る」
この例文など、good、excellentという形容詞が両方、名詞のhaikuを修飾しています。こんな使い方もifの「譲歩」表現はできるんですね。
例
She had many, if not all, of his poems.
「彼の詩の全てというわけにはいかないにしても、その多くを持っていた」
もちろんifは「譲歩」だけではなく「条件」の意味でもしっかり使われます。
例
If it is fine, we will start; if not, we won’t.
「晴れるなら、我々は出発する。晴れなければ、出発しない」
ここでif notのパターンをまとめておきます。
⇒ BではないにしろA
ちなみに、なぜ否定語のnotはこういった場合に省略されないのかというと英語のルールで【否定語】は省略できないと決められているからです。
その他のifを使った譲歩表現
この譲歩表現のifですが、何もif notの形だけではありません。他にもあるんですよ。
ここではif not以外の譲歩(条件)表現を確認してみましょう。知らないと英文解釈上、非常に困ってしまう用法ばっかりです。
if any / if ever
if anyという表現も頻出。やはり「条件」と「譲歩」の2つの訳し方が可能です。
if anyの訳しかた
①【条件】「もしあれば」
②【譲歩】few / little, if anyの形で「たとえあるにしてもほとんどない」
例
Correct errors, if any.
「もしあれば、訂正してください」
if (there are) any (errors)
このif anyはifの後ろにthere areが省略されているといわれ、これも通常の「省略」ルールからしてみれば例外といっていいでしょう。
またif anyが「譲歩」の意味になるときはifの前にfew / littleを置いて表現するのが圧倒的。「たとえあるにしてもほとんどない」という表現になります。
例
There are few, if any, mistakes in Tom’s composition.
「トムの作文には、たとえあるにしてもほとんど間違いがない」
例
There is little hope, if any, of his recovery.
「彼の回復の見込みは、たとえあるにしてもほとんどない」
また、anyではなくeverを使って「頻度」を表す表現にすることもできます。その時の形は
seldom / rarely, if ever,…
「たまにはあるとしてもめったにない」
例
Ken rarely, if ever, eats any lunch.
「ケンは、たまにはあるにしても、めったに昼食は食べない」
あとがき
今回は「譲歩表現」のifについて英文解釈ポイントを挙げてみました。
この表現は文中で使われることがほとんどで、知らないととてもリーディングに悩みます。
特に重要なポイントが
- ifの後ろの主語(S)と動詞(V)が省略される
- 省略されたS+Vは通常の接続詞のS+Vの省略ルールの例外になる
という点をしっかりと抑えておくことが重要です。
ぜひマスターして、今後の英文リーディングにお役立てください。また、会いましょう。
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