この記事は
「先日英文を読んでいたら、Manyが文の主語(S)になっている文を見かけたんです。manyって数量形容詞ですよね?品詞的に文の主語になれないと思うのですが…これはミスプリですか?」
と疑問に思っている英文リーディング学習者に向けて記事を書いています。
●みなさんこんにちは、まこちょです。
英文を読んでいると「これってどう見ても印刷ミスなんじゃないの?」と思えるような英文の形をしているときってありますよね?
例えば今回ご紹介するmany、few、someや数詞なども、文中で使われるときに「おや?」と思う形をしている場合があるんですよね。例えば
例
Some find happiness in fame
「名声に喜びを見出す人もいる」
このSomeは明らかにfindの主語として使われているのですが、このような数詞は「形容詞」扱いなので、本来はSomeだけでは「主語」になることはできません。主語は基本「名詞」がなることができるからです。
文中の名詞の役割について学習したい方は以下の記事を確認してみてください。英文中に出てくる名詞には「遊び」が全くないことが分かります。
こういった一見英文法のルールに反しているような形は、実は英文リーディングをしているとよく見ます。そう、マニアックな用法でもなんでもなくて日常英文でよく現れるんです。
もちろん一見「変」に見えるだけで、実際には何かしらの「省略」が入っているのですが、こういうことでも英文リーディングに慣れていない方にとっては嫌なものなんですよね。
そこで今回は数量形容詞やthose、the 形容詞といった、通常だととても英文の主語になれそうもない形について、徹底的に掘り下げてみたいと思います。
文中の数量形容詞にはpeopleを補う
結論から先に言ってしまいますが、英文中に何の脈絡もなく突然現れた数量形容詞は、その後ろにpeopleを補ってあげれば問題ありません。
例
Many believe in the supernatural.
↓
Many people believe in the supernatural.
「多くの人が超自然現象を信じている」
例
Very few understood what she said.
↓
Very few people understood what she said.
「彼女の言ったことを理解できる人はごく少なかった」
例
By the end of the study, two-thirds were playing tennis.
↓
By the end of the study, two-thirds of the people were playing tennis.
「この調査の終わりまでには、3分の2の人々はテニスをしていた」
もちろん、数量形容詞を使った英文の【前】に、具体的な名詞を表すものが出てきていたらそれを補います。非常に簡単ですね。
例
A:Ken has a lot of friends.
「ケンには友達がたくさんいるよね」
B:You’re wrong. He has few.
↓
You’re wrong. He has few friends.
「いや、彼に友達はほとんどいないよ」
このように英文中ではよくpeople(またはthings)がよく省略されます。その事実を知っているだけで各段に対応がしやすくなるのですが、数量形容詞は文字通り【形容詞】ですので後ろに何かが省略されているのは分かりやすいです。
ですが中には一見peopleが省略されているかどうか分かりづらい形があります。そこで以下ではpeopleが省略されている応用の形をご紹介しますね。
the + 形容詞 ⇒ 形容詞+people
一見名詞で主語になれなそうな形をしているものに「the+形容詞」があります。例えばthe richでrich peopleと同じ意味になり「裕福な人」を表すことができるんですね。
例
She robbed the rich of their money to help the poor.
= She robbed rich people of their money to help poor people.
「彼女は金持ちからお金を盗んで、貧乏人を助けた」
例
The young in spirit enjoy life.
= Young people in spirit enjoy life.
「精神的に若い人たちは人生を楽しむものだ」
この「the+形容詞」は使いどころが多く、代表的な形として
- the rich 「金持ちの人」
- the poor 「貧乏人」
- the old 「老人たち」
- the learned 「博学な人たち」
- the brave「勇者たち」
- the young「若者」
- the wise「賢者たち」
辺りを押さえておくとよいでしょう。例えばthe wise=wise peopleの意味になります。
※注意※
この「the+形容詞」の形なのですが、注意ポイントがあります。以下の点は非常に勘違いしやすいのでしっかり押さえておいてください。
【the+形容詞の注意ポイント】
- ① 全体で「複数扱い」になる
- ② the rich = the rich peopleではない
- ③ the 形容詞の後ろに隠れているのはpeopleだけではない
the 形容詞は後ろにpeopleが省略されていると考えるのが基本ですので、全体で「複数扱い」になります。したがって動詞の形には注意しましょう。
特に注意してほしいのが②で、よくthe rich=the rich peopleと考えてしまう人がいるのですが、それは間違っています。
【the】rich peopleとtheをつけてしまうと、「その金持ちの人々」と「特定の人々」を指すことになってしまいますが、このthe richは不特定の人を指す用法です。したがってpeopleをつける場合はtheは取るのを忘れないでください。
また③の注意点ですが、the+形容詞の用法は何もpeopleが後ろに隠れているだけではありません。
the+形容詞は後ろに【こと・もの】を補って、「抽象名詞」として表現することもできるんです。
例
The beautiful is higher than the good.
「美は善より上である」
もちろんその場合は全体で「抽象名詞」ですから単数扱いになることも忘れないようにしましょう。
Those who~の用法
Those who~「~する人々」は結構有名な形でイディオムとして学習してしまうのがほとんどじゃないでしょうか。
実はこのthose whoもthoseの後ろにpeopleが省略されているんです。
例
There are those who believe in UFO‘s.
「UFOを信じる人もいる」
この例文にはthose whoが使われていますが、thoseの後ろにpeopleが省略されています。
There are those (people) ⇐ [who believe in UFO‘s].
そう、those whoのwhoは「関係代名詞のwho」。したがってwho以下がpeopleにかかることになるんですね。
※those whoの注意点
このthose who~の用法に関してよく質問があがるのは、
peopleの前についているthoseは一体何?
というものです。確かに初めからpeople who~と表現したほうが解釈がしやすいイメージがありますよね。
このthoseは通称「予告のthose」といって、【後ろからpeopleについての説明が入ります、つまり修飾語句がきますよ】と前もって教える役目を果たしているんです。
あくまでも教えるだけのためにあるthoseですから、このthoseに訳はありません。「それらの」なんて訳を入れないようにしましょう。
この予告のthoseですが、そのほかにもthat / theなどがあります。以下の記事で徹底的にまとめてみましたので、英文解釈でつまらないミスを犯したくない方はぜひ立ち寄って学習してみてください!
those whoのwho+be動詞の部分は省略できる
またこのthose whoは後ろのpeopleの部分が省略されるだけではなく、なんと「who +be動詞の部分」も省略される場合があるんです。
これは本当に英文リーディングで見る形ですのでしっかり型を押さえておきましょう。例えば「出席者」ですが、以下のような表現の仕方が可能です。
例「出席者」
those people who are present
↓
those who are present
↓
those present
ずいぶん短くなりますが、このように表現することができるんですね。この形が英文に唐突に出てくると、まさかこの形で「人」を表しているとは、と見過ごす場合があるので注意が必要です。
もちろんthose+形容詞は、「those+分詞」の場合もありますし、「those+前置詞+名詞」の場合だってあります。
● those +分詞の例
They are those chosen by God.
= They are those people who are chosen by God.
「彼らは神によって選ばれた人たちだ」
その他の表現
those raised in the country
↓
those people who are raised in the country
「田舎で育った人々」
those involved
↓
those people who are involved
「巻き込まれた人々」
● Those + 前置詞+名詞の例
Be careful to those in a hurry!
=Be careful to those people who are in a hurry!
「急いでいる人に注意してください!」
いやぁ…これはうかうかすると見逃してしまうかもですね
※注意※
このthose+前置詞+名詞の用法ですが、thoseが前の英文の複数名詞を指している場合は注意しましょう。
例
Dogs from Africa are bigger than those from Japan
「アフリカ犬は日本犬よりも大きい」
Those = the dogs
以上のことを踏まえた上で、以下の課題英文にチャレンジしてみましょう。文中に数詞やthoseが出てきたら今まで以上に警戒するようになっているはずです。
数詞やthoseの後ろのpeopleの省略についての英文
While baby rats kept with their brothers and sisters engage in a lot of rough play, those raised alone with their mothers play just a little.
【単語・表現】
- engage in ~「~を行う」
- rough「荒っぽい」
- raise「~を育てる」
【解説】
While S+Vの箇所はそれほど難解ではないのですが、問題はwhileという接続詞の用法ですよね。
Whileは「対比」の性格を持ち、①「~する一方で」②「~だけれども」と解釈すればよいのですが、ここでは
While baby rats(S) kept with their brothers and sisters engage in(V) a lot of rough play,
those(S) raised alone with their mothers play(V) just a little.
whileをはさんで2つの文が同じ形をしていることに注目しておきましょう。
こういった場合、whileは「対比」で「~だけれども」の訳出をするとうまくいきます。
keptが動詞(V)に思えた方へ。もちろん慣れないうちは仕方がありません。ですがkeepは動詞で使う場合は「他動詞」で後ろに名詞が必要である点と、keptが動詞ならその後ろにあるengage(V)の説明がつかなくなります。
そこでここで考えるのはkeptは動詞ではなく「過去分詞」で前の名詞baby ratsにかかっているということを考えられるのが英文解釈というものです。
While baby rats ⇐(kept with their brothers and sisters) engage in…
「兄弟姉妹と一緒にしておかれた赤ん坊ネズミは…を行うが」
a lot of rough playは「たくさんの荒っぽい遊び」
過去分詞と過去形が同じ形をしているときの英文解釈の方法は以下の記事で具体的に考察しています。ぜひ一読してみてください!
やはり動詞のplayが見えますから、raisedを動詞(V)と考えるのは無理があります。ここも先ほどのkeptと同じようにthoseにかけるのがベストでしょう。
those ⇐(raised alone with their mothers) play just a little.
そうするとthoseはbaby ratsを指しているのが分かりますよね。those+分詞という形になっていても、those people who are raised….と安直に考えないのがこの英文のポイントです。
「母親とだけにして置かれた赤ん坊ネズミはほんの少ししか遊ばない」
全訳「兄弟姉妹と一緒にしておかれた赤ん坊ネズミは荒っぽい遊びをたくさん行うが、母親とだけにして置かれた赤ん坊ネズミはほんの少ししか遊ばない」
peopleの省略されている表現のまとめ
今回はpeopleが省略されている英語表現についてまとめてみましたがいかがでしたでしょうか。まとめると
【peopleが省略されている表現】
- many、fewなどの数詞の後ろ
- the 形容詞
- those who~
です。意外にpeopleが省略されている表現は多いものですね。
ぜひマスターして今後の英文リーディング学習にお役立てください。また会いましょう。
省略について具体的に学習したい方は以下のカテゴリを順に学習してみてください。きっと英文中に起こる「省略」なんて鼻歌交じりで処理できるようになると思います。
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