この記事は
「文頭がItで始まる文っていったいどれだけ種類があるんですか?代名詞のItだったり強調構文のItだったり…一度整理したいです。また実際にItの文が出てきたらまずは何から考えた方が良いでしょうか?」
とItの文について多少敏感になっている英語リーディング学習者に向けて記事を書いています。
●こんにちは、まこちょです。
文頭がItからスタートする英文には注意が必要なのですが、なぜだかわかるでしょうか。
もちろんItが「代名詞」だけの使い方しかなかったら、それはThisやThatと同じですからそれほど話題にならないはずです。
ところが、Itは代名詞としての使い方のほかに「天候のIt」や「強調構文のIt」など非常に用法が多いのが特徴なんですよね。
ですからItをみたらなんでも「それ」という訳語を入れるわけにはいかないところが、この単語の難しいところだったりします。
そこで今回は文頭のItにはどのような種類があるのかをまとめつつ、実践では何から考えていった方が効率が良いのかを説明します。
以下の記事を読了すると次の点であなたのリーディング能力が向上します。
▶文頭のItの実践的なさばき方がわかる
ぜひ、今後の英文解釈にお役にたてば幸いです。
文頭のItの種類はこんなにある
Itの文は代名詞のItとは違い、「それ」と訳してはいけないものが多いのが厄介なところです。まずは以下の種類を押さえておきましょう。
天候・気温・時間・距離・明暗・環境を表すIt
このItは総称して「漠然のIt」などと呼ばれ、要するにS+Vの主語になれるものがないので置いたItのことです。これが意外に種類が多かったりします。
例①「天候」のIt
Though it‘s snowing outside, it’s warm in this room.
「外は雪が降っているが、この部屋の中は暖かい」
例② 「時間」のIt
It has been five years since I saw you last.
「この前にお会いしてから5年がたちました」
例③「事情(環境)」のIt
It‘s your turn to answer my question.
「あなたが私の質問に答える番です」
このItは主語(S)を作るためだけに置いているので、もちろん「それ」的な意味はありません。まちがっても訳さないようにしてください。
It seems that / It happens / It may be that ~のIt
この用法のItは It seems(appears) / happens(chances) that~のように動詞の形がほぼ決まっています。
そういう意味では先ほどの「天気・環境」のItと比べても、英文リーディング中に気づきやすいところがラッキーですね。
ここで使われているItも「事情・環境」のItと同じ使い方なのですが、使う動詞の種類がほぼ決まっているので、いっそのことIt seems that~「~するようだ」のように一種のイディオムのように覚えてしまった方が早いかと。
例④
It seems that Taro got fat.
「太郎は太ったらしい」
例⑤
It happened that there was a meeting on that day.
「その日たまたま会合があった」
例⑥
It may be that I’ll visit Japan this summer.
「今年の夏、私は日本を訪れるかもしれない」
このItも「それ」と訳しません。
形式主語(仮主語) / 強調構文のIt
上記のパターンのどれにも含まれないItが登場したら要注意!先ほどまでのItは正直Itについては深く考えなくて良いのですが、次のItはItの指す場所が「後ろ」なので、若干レベルが上がる用法になっています。
例⑦ 形式主語(仮主語)
It is wrong to break your promise.
It is wrongの部分を見てみると「天気」のItでもないし、It seemsのような「状況」のItでもありません。
代名詞のItは、言うまでもなく、Itの前に代名詞の前に「名詞」が必要ですが、この文にはありませんよね。
こういうときに、「仮主語構文」「強調構文」のItを疑いましょう。例文のItの本当の主語はto以下を指しているんです。
It is wrong to break your promise.
It = to break your promise
「約束を破るのはよくない」
形式主語(仮主語)のItが受ける真主語の形
形式主語(仮主語)のItを受ける「真主語」の形はto不定詞だけではありません。他にもいろいろありますので、ある程度は慣れておくと良いでしょう。
Itが受ける真主語の形
⇒ to V / Ving / that S+V / whether(if) S+V / 疑問詞 S+V
例 真主語が動名詞
It isn’t much fun doing housework.
「家事をするのはあまり楽しいことではない」
例 真主語が疑問詞
It is not clear which route is the shortest.
「どちらのルートが短いか分からない」
It was not clear when and where he was born.
「いつどこで彼が生まれたかははっきりしなかった」
例 真主語がwhether(if)節
It is doubtful if the game will be played tomorrow.
「明日ゲームが行われるかどうかはわからない」
例 真主語がthat節
It is likely that it will rain tomorrow.
「明日は雨が降りそうだ」
※ 仮主語(形式主語)構文と強調構文は「訳し方」が同じってホント?
ここで1つ注意点を。It is~thatの構文は仮主語構文のほかに強調構文があります。
「~」の部分に入る品詞によって構文の種類が変わるのですが、訳すときは【真主語の部分を主語に見立てて訳す】という点では同じですので、読むときにはこの2つの違いについては気にする必要はありません。
例
It is natural that you should get angry.
naturalは「形容詞」。したがってこの文は「仮主語構文」。
訳「彼が怒るのも無理はない」
例
It was yesterday that I met him.
yesterdayは「副詞」。したがってこの文は「強調構文」
訳「私が彼に会ったのは昨日だ」
以上を踏まえて英文解釈の練習をしてみましょう。
文頭のItの練習問題
[問題] 次の文を和訳しなさい
(1) It was rainy yesterday.
(2) It takes me thirty minutes to solve the problem.
(3) It is difficult that he becomes a teacher.
(4) I found a book at the bookstore. It was very interesting.
(5) It is clear that to communicate better, we should become more conscious of our own and others’ body language.
[解説]
rainyが「天気」を表す表現なのは誰でもわかります。したがってこのItは「天候」のItと判断しましょう。
訳「昨日は雨だった」
「take 人 時間」の形のtakeは「かかる」と訳します。したがってここは「30分かかる」と訳せることが分かりますよね。
したがってこのItは「時間」のIt。
訳「私がその問題を解くのには30分かかる」
「…であることは明らかだ」
あとがき
文頭の学習手順がよく分からない、という方は以下の記事を確認してみてください。
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