この記事は
「one of~は『~のうちの1つ』と訳せばよいと思っていたのですが、この前その意味で英文解釈するとまったくわけのわからない日本語訳になったんです。もしかしたらone of~には他の意味があるのでしょうか?」
と疑問に思っている英文リーディング学習者に向けて記事を書いています。
●こんにちは、まこちょです。
one of~という表現は「~のうちの1つ」という意味で学習するかと思うのですが、実はこのone of~、意味が1つだけではなかったりします。
したがってone of~を見たらとりあえず「~のうちの1つ」と訳をごり押ししてしまえ!といかないところがこの表現のやっかいなところですね。
そこで今回はone of~の用法についてもう一度しっかり基本から確認してみたいと思います。one of~が「~のうちの1つ」という意味になるときは、いったいどのような特徴があらわれるのか、また他の意味になるときには何かヒントとなる形があるのかを根掘り葉掘り見ていきましょう。
しっかりとそれぞれの特徴をつかんでいれば「あれ?この英文のone of~の訳ってなんかおかしいんじゃ…」と悩むことはなくなります。なんせ形から判断しているのですから間違えるわけがありません。
以下の記事を最後まで読んでみてください。次の点でもはやone of~についての解釈は完璧になるでしょう。
▶one of~の意味の違いは「形」で判断することができる
ぜひ今後の英文解釈にお役に立ててくださいね!
one of~はどんな時に「~のうちの1つ」の意味になるのか?
まず、私たちにとってなじみ深い「~のうちの1つ」の意味になるone ofの特徴から確認してみます。
素朴な質問なのですが「~のうちの1つ」の「~」の部分ですが、ここには最低「何個」の【もの】が必要でしょうか?
もし「~」の部分がたった1つの【もの】しかなかったら、そもそもone of~の表現を使う必要がありませんよね。なぜって「1つのうちの1つ」なのだから。初めからoneやa(n)などを使って表現すればいいだけの話です。
そう、one of~が「~のうちの1つ」という意味になるには、「~」の部分が少なくとも「2つ以上」、つまり複数形になっていなくてはならないのは当然ですよね。
そしてもちろん、複数名詞ということは「s」がつく可算名詞ということになります。不可算名詞だとそもそも数えられないのですから、「1つ」と数えるone ofとは一緒に使えないはずですね。
例
Mt. Fuji is one of the symbols of Japan.
「富士山は日本の象徴の1つである」
またこの意味の場合、最上級表現と一緒に使われることもあります。やはり複数名詞になっているところは押さえておきましょう。可算名詞にはtheや所有格が必ずつくところもポイントが高いですね。
例
Charles Dickens is one of the greatest 19th-century novelists.
「チャールズ・ディケンズは、19世紀が生んだ最も偉大な小説家の一人だ」
ちなみにone of~の箇所が英文の主語で使われた場合はoneの部分が主語(S)です。したがって「1つ」が主語ですから、それを受ける動詞も単数形になるのは要チェックです。
例
One of the balls is red.
「その球の1つは赤い」
ここまでをまとめてみます。以下の点をしっかり理解しておきましょう。
【one of~を「~のうちの1つ」と訳す場合の特徴】
- ① 「~」の部分が可算名詞の複数形
- ② 複数名詞にはtheや所有格が必ずつく
ところがです。英文を読んでいるとごくまれにone ofが使われているにもかかわらず、後ろが複数形になってない形が出てくるときがあるんですよね。
one of (the) 単数形の場合は「~のうちの1つ」の意味ではない
例えば次の例はどうでしょうか。
例
The atmosphere of that hotel is one of happy domesticity.
domestisityは「家庭」という意味の名詞なのですが、大事なのはそこじゃありません。この英文、one of~の表現が使われているにもかかわらず、~の部分に複数名詞が来ていません。
この場合、絶対にone of~を「~の1つ」と訳してはいけません。
このように、one of~単数名詞という形になったとき、そのときoneは「1つ」ではなく、代名詞として使われているんです。上記の文ですと
The atmosphere(S) of that hotel is(V) one(C) of happy domesticity.
とSVCの第2文型を作っていますので、S=Cの関係が成り立ちますからThe atmosphere=one、つまりoneはan atomosphereの代名詞ということになります。したがって訳は
×「そのホテルの雰囲気は、温かい家庭の一つである」
◎「そのホテルの雰囲気は、温かい家庭の雰囲気である」
と訳さなければなりません。
【one of~のoneが「代名詞」の場合の特徴】
- ①「~」の部分が単数形のとき
例
The project is one of great economic importance.
「その企画は経済的に非常に重要な企画だ」
例
The process is essentially one of detective work.
「その手順は本質的に探偵の仕事のような手順だ」
いや~one of の表現は2種類あるなんて驚きですよね。
one of~の英文を読んでみよう
Keep emphasizing, if possible, that you are both trying to reach the same end and that your only difference is one of method and not of purpose.
【単語・表現】
- emphasize「~を強調する」
- if possible「もし可能なら」
- end「目標」
実際にone of~の表現について、実践英文を読んで確認してみましょう。
解説
keepから始まるこの文、もちろん「命令文」です。keep ~ingで「~し続ける」の表現になります。
さらに後ろを読むと「,(カンマ)」で挟まれた箇所が。この場合、, ~,の部分は「挿入」なのでいったん外して考えます。
すると
Keep emphasizing that…
「…を強調し続けなさい」
emphasizeが「強調する」の表現で他動詞ですので、後ろのthat節がemphasizeの目的語になっていることが分かりますよね。if possibleは「もし可能なら」の表現になります。
「動詞の後ろのthatは接続詞を疑え」は非常に使えるルールです。that節ということは後ろに主語(S)と動詞(V)が続きますし、今回の英文もそうなっています。
bothと後ろのandを見て、both A and Bの形と思ってしまった人はちょっと待って!もし上記の英文がこの形をとっているなら、AとBは「同じ形」をしているはずですよね。ところが
both [trying ~ ] and [that your only difference is…]
と[ ]の部分が全く形が異なっているのに気がつくかと。そうここではboth A and Bの形で使われていないことに気づくことが重要ですね。ここのbothはyou are both…で「あなたがた両方は ⇒お互いに」と解釈します。
ちなみに等位接続詞は英文解釈上非常に重要なポイントになります。ぜひ以下の記事をチェックしてみてください。
ではandは何と何をつないでいるのか?慌てないでandの後ろを見てみるとthat S+V…の形になっていますよね。そうこのandはthat節をつないでいるのでした。つまり
Keep emphasizing
that you(S) are both trying to reach(V) …
and
that your only difference(S) is(V) one of …
と捉えられた方は完全に読めています。「that①とthat②を強調し続けなさい」が訳の基本になりそうですね。
「唯一の違いは方法(の違い)であって、目的(の違い)ではないこと」
さて、今回のテーマであるone ofです。of以下の名詞が単数形になっていることに注目して、今回は「~のうちの1つ」と解釈するのではなく、oneがdifferenceの代名詞であることに注目して訳します。
全訳「もし可能なら、お互いに同じ目標に到達しようとしていること、そして唯一の違いは方法であって目的ではないことを強調し続けなさい」
one of~の意味について:まとめ
さて、今回はone of~の意味の違いについて学習したわけですがいかがでしたでしょうか。まとめると
【one of~の2つの意味】
① one of ~複数名詞
⇒「~のうちの1つ」
② one of ~単数名詞
⇒ one は前述の代名詞
となります。2つの意味があるということをしっかりと頭に入れておいてくださいね!
また会いましょう。
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