「この前英文を読んでいたら、文頭に関係代名詞のWhichを使った英文を見ました。関係代名詞のwhichって先行詞がなくても使えるのでしょうか?なんせwhichが文頭なので前に先行詞らしきものが見当たらないのですが…」
と疑問に思っている英文リーディング学習に向けて記事を書いています。
● みなさんこんにちは、まこちょです。
関係代名詞の中にはwhichがあるのですが、このwhich、なかなか多種多様な使い方をします。
特にwhichの前にカンマ「,」がついた関係代名詞は「継続用法(非制限用法)」といって、他の関係代名詞にはないさまざまな使い方が可能です。
例えば「, which」の先行詞ですが、直前の名詞だけではなくて直前の文の一部、または直前の文全体を先行詞にすることもできるんですね。
例①
I borrowed her book, which is difficult for me.
「私は彼女の本を借りましたが、それは私にとって難しいです」
→ whichの先行詞はher book
例②
He said that he wasn’t afraid of ghosts, which wasn’t true.
「彼は幽霊は怖くないと言っていたが、それは本当ではなかった」
→ whichの先行詞はthat he wasn’t afraid of ghosts(前文の一部)
例③
He quit the job, which was not surprising.
「彼は仕事を辞めたが、驚くことではなかった」
→ whichの先行詞はHe quit the job(前の文全体)
この「, which」の使い方について具体的に学習したい方は以下の記事を参考にしてみてください。継続用法についてしっかりと理解することが出来ます。
この上記の例のように通常関係代名詞のwhichというのは、語や句、節などの違いはあれどwhichの前に先行詞があることが普通です。
ところがですね、この関係代名詞のwhichが文頭、つまりWhichから始まる文を見たというんです。
先ほどの言った通り、関係代名詞のwhichは前に先行詞があることが普通です。したがって理論上、大文字のWから始まる関係代名詞whichの使い方はできないということじゃないですか。
そこで調べてみました。文頭が関係代名詞whichから始まる英文が果たしてあるのかどうか?
ところが、実は最近この形がよく小説や新聞、雑誌などにおいてますます見受けられるのです。ちっとも珍しくない用法で近年バンバン使われている。
したがって関係代名詞whichが文頭で使われるパターンは、慣れておかないと英文リーディングに多大な影響を与えるのは目に見えています。
そこで今回は文頭で使われる関係代名詞のwhichについて徹底解説!ぜひ近年猛威を振るっているこの形に慣れておいてください。
文頭の関係代名詞whichは継続用法の変形バージョン
まずは次の例を見てください。
例
These sorts of hats are in fashion this year, which is why I wanted it.
「今年、これらの帽子は流行っていて、私はそれが欲しかった」
先ほどの例と同様、「, which」の継続用法です。よくある形なのですが、文頭が関係代名詞のwhichから始まるというのは、この「, which」のカンマがピリオドになり、which以降が前の文から切り離された用法なんです。
These sorts of hats are in fashion this year.
Which is why I wanted it.
つまりWhich以下の文が【完全に独立している】のが特徴です。ちょっと例文を見てみましょう。
例
The window is broken. Which means we have to replace it.
「窓が壊れてしまった。つまり取り換える必要がある」
この文頭の関係代名詞whichですが、訳しかたは「, which」の継続用法と変わりません。ポイントは以下の点を押さえることが重要です。
【文頭の関係代名詞のポイント】
- ① 関係代名詞はwhichのみ
- ② Whichから文は始まるが先行詞は前の文にある
- ③ 前の文の「語」「句」「節」がWhichの内容
いくらこのWhich文が独立しているとはいっても、前の文がなくていきなりWhich~の文が出てくることはありません。
例
“Hydroseed,” said Ken.
“Which is what?” Keiko asked.
「Hydroseed」とケンは言った。
「それって何?」と恵子はたずねた。
→ Whichが指すのはHydroseed。
例
Logan promised his wife that he had quit drinking. Which was a lie.
「ローガンはお酒はやめたと妻に約束した、それは嘘だった」
→ Whichが指すのはthat節以下。
例
It’s cold outside. Which means riding season is coming to a close.
「外は寒い。これは乗馬シーズンがもう少しで終わることを意味する」
→ Whichが指すのは前の文全部。
文頭に前置詞+whichがくる用法
この文頭に関係代名詞のWhichが来る用法ですが、前置詞+whichが文頭に来るパターンもあります。
例
The meeting was a success. At which the two agreed to take a new approach.
「その会議は成功だった。両者が新しい取り組み方を取り入れることで合意した」
以上の点に注意して次の課題例文をリーディングしてみましょう。
文頭の関係代名詞whichについての練習問題
【単語・表現】
- phenomenon「現象」ここでは「万有引力の法則」
- must have been 過去分詞「~されたに違いない」
- previously「それ以前に」
- law「法則」
解説
「間違いなくこの現象は彼によって新たに観察されたのではなく、他の多くの人々にそれ以前にも観察されたに違いありません」
● this phenomenon was not newly observedは「受動態」の文ですが、受動態の文だからと言ってすぐに「~される・~られる」という訳出をするのは考えが浅はかです。
この文では問題ありませんが、受動態の訳出で意味が今一つ分かりにくい場合は、主語を能動態の目的語(O)、つまり「~を」と訳し、by以下を主語(S)「~は」と訳すとしっくりくる場合があります。
ここでは「間違いなくこの現象を新たに発見したのは彼ではく」と訳出を工夫しても良いでしょう。
● Which brings me to my questionですが、文頭に関係代名詞のWhichを使っています。ここでは前の文の内容「ニュートン以前にも、木からリンゴが落ちたこと(万有引力の法則)を観察した人がたくさんいること」を指しています。
● ,not someone else,はカンマに挟まれた挿入句。not Aで「Aではなく」。挿入句は一度外して考えると、文の全体像がよく分かるようになります。Why did he discover the law?
文頭の関係代名詞which:まとめ
さて今回は文頭の関係代名詞whichについて解説しましたがいかがでしたでしょうか。
この関係代名詞whichの使い方ですが、正直言って関係代名詞の用法としては破格といっていいかと。前の文とピリオドによって切ってしまうのですから、この用法を知らないと「先行詞はどこ?」と悩んでしまうのはしょうがないですよね。
したがってこの用法は普段から「こういった形もある」ということを理解しておくことが何より大事です。そうしないと実際のリーディングで見かけたときに間違いなく解釈に困ってしまいますよね(私だって初めて見たときは驚きましたから)
ぜひ以上の例文でこのようなタイプの英文について免疫をつけておいてくださいね!また会いましょう。
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