この記事は
「英文リーディング中に仮定法表現があっても気づくことができません。いったいどうやったら通常の文と仮定法を見分けることができるようになりますか?」
と悩んでいる英文リーディング学習者に向けて記事を書いています。
●こんにちは、まこちょです。
英文法の単元に「仮定法」というジャンルがあるのですが、この仮定法は通常の文法と違って特殊な形をしていますよね。
例えば動詞の過去形を使っているのに意味が「現在」のことを指すとか。「は?いったい何を言ってるの?」と思わず思ってしまうポイントがてんこ盛り、それが仮定法という単元なんですね。
しかもこの仮定法を使うと事実とは異なる「反事実」、言い換えれば「健全なウソ」や「空想」などを表現するといった、これまた扱い方が難しそうな意味を表すのです。
これって、もし英文リーディング中に「あ、仮定法だ」と気づかなかったら大変ですよ?だって「反事実」ということは事実とは異なるということですから、真の意味は真逆ということですものね。
そこで今回文中でさりげなく登場する「仮定法」をしっかり見極めるコツについて徹底解説します。以下の記事を熟読してくれれば、次の点であなたの英文リーディング能力は恐ろしいほど向上するでしょう。
ぜひマスターしていただいて今後の英文リーディングにお役立てください。
仮定法の特徴のある形
英文中に出てくる「仮定法」の文を誤訳しないためにも、まずは仮定法の基本的な形はしっかり押さえておきましょう。
【仮定法過去】
例①
If I had enough money, I would buy a new computer.
「十分なお金があったら、新しいパソコンを買うのに」
【仮定法過去完了】
例②
If I had known her phone number, I could have called her.
「彼女の電話番号を知っていたら、彼女に電話をすることができたのに」
この2つの文を見てもお分かりの通り、仮定法というのは非常に特徴のある形をしています。主なポイントをまとめると
【仮定法のポイント】
- ①動詞は「過去形」を使う
- ②助動詞の過去形が必ずある
- ②条件「もし~ならば」の部分が必ずある
が主な仮定法の特徴ですね。
この仮定法の例文を見てひときわ目立つ箇所があることに気づいたでしょうか。そう、先ほどのポイントにも書いた「助動詞」。
仮定法の文には必ず助動詞の過去形を使います。これは英文リーディング中に、「この文は仮定法かそうでないか?」を判断するのに非常に役に立つんです。
英文中で助動詞の過去を見たらまず「仮定法」を疑う
この助動詞の過去ですが、実は英文中で極めて使用頻度が少ない形であり、限られた状況でしか助動詞の過去形は使わないんです。
その限られた状況というのは以下の通り。思った以上に少ないのが分かるでしょう。
【助動詞の過去を文中で使う用法】
- ①仮定法
- ②昔の内容(過去の回想)を表す
- ③時制の一致
- ④丁寧表現
例【昔の内容】
He would often come to see me.
「彼はよく遊びにきたものだった」
例【時制の一致】
I think that it will rain.
↓
I thought that it would rain.
「雨が降ると思った」
例 【丁寧表現】
Could you please confirm?
「確認してもらえませんか? 」
といった感じで、英文中で助動詞の過去形が使われる用法というのは、思った以上に限られてしまうんですね。
そこで以下のような名言(?)が英語学習者の間で言われるようになりました。それは
「英文中で助動詞の過去形を見たら、まずは仮定法を疑え」
です。確かに助動詞の過去形を使うシチュエーションが上記ぐらいしかないのでしたら、読み間違いをすると「事故」につながってしまう仮定法をまず疑っていくという考えは実は理にかなっているのではないかと思います。
仮定法とわかったらまず「条件」の部分を探す
文中の助動詞の過去を「仮定法」と疑ったら次にやることと言えば、仮定法の「条件(もし~ならば)」の部分を特定することです。
先ほどの仮定法の特徴にも書きましたが、仮定法には「条件」がつきもの、そう絶対にあるんです。したがって仮定法と分かったのに条件の部分を見つけられないなんてことになったら、やっぱりそれは誤読でしょう。
と、こんなことを書くとしたり顔で意見をしてくる輩(失礼)がいるんです、こんな風に。
「先生、仮定法の条件を探せっていうけどさ~、条件の部分って「if節」でしょ?そんなの見つからない人なんていないに決まってるじゃない!」
甘いですね(バッサリ)。
確かにもし仮定法の条件の部分が必ず「If」から始まるものだったら、Ifがちょうどいい目印になって、見つけやすいですが、なんと仮定法の条件はif節ばかりじゃないんです。この点が仮定法をひときわ難しくしている要因なんですね。
仮定法の「条件」の部分ですが、以下のような姿に変わっている場合があるんです。いや、むしろif節をストレートに使っているほうが珍しいかもしれません。
【条件(もし~ならば)に当たる部分】
- ① if ~(省略される場合あり)
- ② 不定詞句(to do~)
- ③ ~ing / p.p.
- ④ 主語(S)
- ⑤ 副詞
う~ん…結構ありますよね(笑)。条件のifなんてほんの一部分だということが分かるかと。せっかくですのでそれぞれ例文で確認してみます。
例② 【条件が不定詞句】
To hear Ken speak English, you would take him for an American.
この文は英文中に助動詞の過去形が使われています。そこでまずは仮定法と疑ってみましょう。
そうするともちろん条件に当たる部分がありますが、今回はそれがTo hear…の不定詞句の部分であると気づくのが重要です。したがって訳は
「もし、ケンが英語を話すのを聞いたら、あなたは彼をアメリカ人と思うだろうに」
例③ 【条件が~ing… / ~ed(過去分詞)】
Born (=If he had been born) in better times, he would have become a great scientist.
「もしもっとよい時代に生まれていたら、彼は偉大な科学者になっていたであろう」
分詞構文には「~ならば」と条件の意味で訳せるパターンがあります。
分詞構文についての具体的な学習はこちらでどうぞ。作りかたから何から分詞構文のすべてが分かります。
例④ 【条件が文の主語(S)】
なんと文の主語(S)が条件になっている場合もあるんです。非常に分かりにくいですよね。
An excellent doctor would cure the serious disease.
「優秀な医者ならその難病を治すだろう」
例⑤ 【条件が文の副詞の場合】
これもなかなか条件としては地味です(笑)副詞部分が条件になったパターン。仮定法を見落としてしまうと、ほぼ100%誤訳につながってしまうのも分かりますね。
My life would be better in different times.
「時代が違ったならば、私の人生はもっと良いものだろう」
条件のifの省略は要注意!
このように仮定法の条件というのはいろいろ形を変えてあなたを困らせます。ですが仮定法の条件で何よりも困る形が実はこれ、そうifの省略です。
仮定法のifは通常のifと違い省略できます。しかもその条件節が主節の後に回ってしまうと、カンマがつきませんので時非常に独特な形をするんですね。英文中で出会ったときに混乱することもよくあります。
例
Should I fail again (=If I should fail again), I would be discharged.
「またしくじるようなことがあれば解雇されるだろう」
例
Had she spoken (=If she had spoken), her accent would have shown that she was (an) American.
「しゃべれば彼女がアメリカ人だということが、そのアクセントからわかるだろう」
以上の点を踏まえて今回の課題英文に取り組んでみましょう。上記のポイントを押さえるだけで、意外なほどに文中の仮定法を見分けられることに気づくはずです。
仮定法の見分け方に関する英文演習
Some people now considered the greatest geniuses in history would have been diagnosed as autistic had they lived in the twenty-first century.
【単語・表現】
- genious「天才」
- diagnose「診断する」※diagnose A as B「BとしてAを診断する」
- autistic「自閉症の」
解説
この文の最初の出だしをsome people(S) considered(V)と考えるのは全く自然なことです。ですがこのように読むと後で出てくるwould have been…のところで詰んでしまうんですよね。
そう、ここまで読んでこのconsideredが動詞の過去形ではなく実は過去分詞として前のsome peopleにかかっているのだ、と理解できることが第一関門です。つまり
Some people(S) ⇐[now considered the greatest geniuses in history]
would have been(V)…
と構造を捉えられた方はバッチリですね。
ちなみのconsiderという動詞はSVOCをとれるんです。consider O+Cで「OをCを考える(思う)」。この文構造ももともと
(S) considered(V) some people(O) the greatest geniuses(C)
↓
受動態にすると
↓
Some people(S) are considered(V) the greatest geniuses(C)
↓
be動詞を取ると
↓
Some people ⇐ [now considered the greatest geniuses in history]
「今歴史上最も偉大な天才と考えられている人たちの一部は…」
となったわけですね。
動詞の過去形と過去分詞が同じ形をしているときの判断の方法については以下の記事を集中学習してみましょう。英文リーディングのよくある形を攻略してみてください!
「…人たちの一部は、自閉症と診断されただろう」
さて、今回のテーマである「助動詞の過去形」が出てきました。助動詞の過去形を見たら仮定法を疑え!の格言(?)のようにまずは仮定法の線を疑っていきましょう。
当然仮定法と疑ったら「条件」を探すことになります。今回はhad they lived in the twenty-first centuryの部分が「条件」に当たるのですがこの箇所はもともと
if they had lived in the twenty-first century
「もし21世紀に生きていたならば」
↓
had they lived in the twenty-first century
とifが省略された形だったのです。たちが悪いのはifがあるときはこの接続詞のifがカンマ(,)の代わりをしていたのですが、そのifが省略されたとしてもカンマをつけてくれるといったことがないところです。
例
I could have called the girl If I had known her phone number.
↓
I could have called the girl had I known her phone number.
そうすると the girlと後ろのif節が一見つながっているように見えるのが嫌なところですね。
全訳「今、歴史上最も偉大な天才と考えられている人たちの一部は、もし21世紀にいきていたならば自閉症だと診断されていただろう」
仮定法の見分け方まとめ
今回は英文中の「仮定法」を見分けるコツをご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。
文中の仮定法を見分けるポイントをまとめると
- ①助動詞の「過去形」を見たら「仮定法」を疑う
- ②「条件」の部分を見つける
です。ぜひ会得して今後の英語学習にお役立てくださいませ。また会いましょう。
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