この記事は
「文頭が形容詞で始まる英文の訳し方はどうしたらよいのでしょうか?この前英文を読んでいたら、突然形容詞がポツンと現れて、後はカンマの後にS+Vが続いてるだけ、という奇妙な形の英文を見たのですが正直英文解釈できなかったんですが…」
と悩んでいる英文リーディング学習者に向けて記事を書いています。
● みなさんこんにちは、まこちょです。
英文を読んでいるとごくまれに、形容詞から始まる文というのを見たことがあるかと思います。例えば以下のような感じで英文がスタートするのが多いですね。
Angry is…
Angry, he is…
もちろん英文の主語(S)は必ず「名詞」がなるものですから、形容詞がいきなり文頭に登場したからといって、形容詞(S)を主語に見立てることはできません。
つまり主語(S)は必ず他にあり、この形容詞は主語(S)ではなく別の処理をしていかなくてはならないということですよね。
ところがこの文頭の形容詞は意外にも解釈方法が多いんです。なんと3パターンもあって英文リーディング学習者を悩ませてしまうんです。
そこで今回は、「文頭の形容詞」の処理方法を徹底解説!
形容詞が文頭にボン、っと出て来ても慌てない英文解釈パターンを完全網羅いたします。
以下の記事を読むと、次の点であなたの英文解釈能力は目に見えて向上します。
▶一見、主語(S)と動詞(V)の関係になっていないパターンの文でも慌てなくなる
ぜひマスターしていただいて、今後の英語学習にお役立てください。
文中の形容詞の使い方
文頭の形容詞を「完全」に処理するには、何よりもまず英文中で使われる形容詞の使い方を知っていなければなりません。
とはいっても英文中に使われる形容詞の用法は2つしかないのでそれほど難しくないんですよ。
① 名詞を修飾する
② 動詞の補語(C)になる
たったこの2つしかありません。
例①
「大きな建物」
a big building
⇒ 形容詞bigが名詞buildingを修飾している
例②
「彼の犬は大きい」
His dog is big.
⇒形容詞bigが動詞isの補語(C)として使われている。
つまりこれから説明する「文頭」の形容詞も、実質この2つの形容詞のどちらかで使われているのは変わらないわけです。
ここは単純なようで非常に重要なポイントになりますのでよく覚えておいてください。
文頭の形容詞の3つのパターン
文頭の形容詞のパターンはたった3パターン。ですがいくら3パターンもあるからと言って特に特殊な用法が使われているわけではなく、上記で説明した2つの用法のうちのどちらかになるという点をしっかり押さえてくださいね!
形容詞の後ろに名詞 ⇒ 名詞を修飾
例③
Beautiful flowers bloom in spring.
「春には美しい花が咲く」
(引用:weblio)
まずは第1パターンです。このパターンは見たら分かりますが、形容詞beautifulが後ろの名詞を修飾しています。
このように形容詞の後ろに名詞が、しかも間にカンマがない場合は、形容詞+名詞の形で使っていると判断しましょう。非常に簡単ですよね。
ところが文頭で使う形容詞のパターンはこれ以外にもまだあり、しかも意外に難しかったりしますのでよく形を観察するのが重要です。
形容詞の後ろに動詞 ⇒ CVSの倒置形
例④
Heavy is the burden of the responsibility
「その責任の負荷は重い」
この文章を見てもらいたいのですが、形容詞Heavyの後ろにカンマもなしに動詞が続いていますよね。
通常、動詞(V)の前には主語(S)になる名詞があるはずなのですが、この文にはありません。ですが動詞の前に主語がない場合は動詞の「後ろ」に主語(S)があります。今回はburdenが主語(S)なんです。
Heavy(C) is(V) the burden(S) of the responsibility.
そう、この文は「倒置」しているんですね。これが文頭が形容詞で始まるパターンの2つ目になります。
なぜ倒置をするのか、という考察は別記事で念入りにご紹介していますので今回は省きますが、もしよかったら以下の記事をのぞいてみてください。倒置についてめちゃめちゃ詳しくなります。
形容詞, S+V…⇒ 形容詞の前にBeingが省略されている分詞構文
さて、今回のメインがこの形です。突然以下の形に遭遇すると、処理方法を知らない人はびっくりするのではないでしょうか。
この場合の形容詞の特徴として
② 形容詞 , S+Vの形になる
といったパターンを取ることを押さえてください。例えば次の例文はどうでしょうか。
例⑤
Competent, Mr.Smith was expected to be able to solve the problem.
Competentは「優秀な」という形容詞。したがってこの文は
Competent, Mr.Smith(S) was expected(V)…
と、「形容詞, S+V…」の形になっていることが注目ポイントですね。このとき、実は形容詞の前にBeingが省略されているんです。
Being competent, Mr.Smith(S) was expected(V)…
そうすると、「~ing… , S+V」の形は「分詞構文」であると分かるはずです。
※と、こんなことを言われて、「なんでこの形が分詞構文なんだ?」と疑問に思ってしまった方はお手数ですが以下の記事をちょっとのぞいてみてください。文頭の~ingの処理について完璧に分かると思います。
ところで分詞構文と分かったら何なのでしょうか?ってとても重要なことが分かります。それは
つまりこの文では主節の主語はMr.Smithなので、
Being competent, …
↓
Mr.Smith was competent
「スミスさんは優秀だ」
と言っているようなものです。
後は簡単。~ingと主節の兼ね合いを考えて適切な訳を与えてください。ここでは
「スミスさんは優秀だ」「その問題を解決できると期待された」
と2つの文をつなげているようなものですので
「スミスさんは優秀なので、その問題を解決できると期待された」
と、「理由」の接続詞の意味を入れてあげればよいと分かります。
同様に以下の文について適切な意味を考えてみてください。
例⑥
Rigid in my bed, I waited for my mother to leave the room.
↓
Being rigid in my bed, I waited for…
「私は自分のベッドで硬直して、母が部屋を去るのを待った」
例⑦
Unable to prove his innocence, he was forced to leave the town.
↓
Being unable to prove his innocence, he was…
「彼は自分の無実を証明できなかったので、町を去らざるをえなかった」
以上の点を踏まえた上で今回の課題英文はこちらです。
文頭の形容詞についての練習問題
Alive, the elephant was worth at least a hundred pounds; dead, he would only be worth the value of his tusks, five pounds possibly.
(東京大学)
【表現】
- worth ~「~の価値がある」
- tusk「牙」
- possibly「ひょっとすると、せいぜい」
解説
いきなりAliveでスタートするこの文、aliveは「形容詞」です。カンマを挟んで後ろの文がS+Vとなっていますので、この文は
形容詞, S+V
という形を取っているんですね。つまりこの形容詞は前にBeingが省略されている分詞構文の一部だったのです。
Being alive, the elephant was…
分詞構文のbeingの省略と分かれば後は簡単、分詞構文~ingの前に主語がない場合、それは、主節の主語(S)と「同じ」ことを意味しています。したがって
Being alive
↓
The elephant was alive
と考えればいいと分かります。
分詞構文の作り方と訳し方については以下の記事で確認してみてくださいね!
今回は2つの文の関係で「その像は生きていた【ので】、少なくとも百ポンドの価値があった」と「理由」の訳出をすると良いでしょう。
セミコロン「;」は「接続詞の何でも屋」という非常に便利な記号です。そもそもこの英文は後ろにhe would only be…と文が続きますので
と2つの文をつなぐ役目をこのセミコロンがになっているわけです。
ところでセミコロンは「接続詞の何でも屋」なのでand、but、while、for、because、soのどの意味にでもなることができるのですが、ここではどの接続詞の代わりに使われているのでしょう?
実はこの英文の場合は特定できるヒントがあるんです。それがdeadの存在ですね。
この2つの単語は意味的に「生きている」「死んでいる」とちょうど対比で使われていますよね。したがってここでは、while、またはbut「しかし」の意味で「;」が使われていると分かるわけです。
「その像は生きていたので、少なくとも百ポンドの価値があった【が】」
英文解釈は記号に強くなると、ワンランクリーディング力が上がります。以下の記事でよく使う英語記号を押さえておきましょう。
セミコロンの後半の文も形容詞からスタートしている文ですね。
deadの前にはやはり分詞構文のbeingが省略されているのですが、先ほどと同じように「理由(~ので)」と訳して良いのでしょうか。
そこで注目するのがwouldです。もし、後半の文が単なる「未来形」の文だったらwillで十分事足りるはずですね。
そう、このwouldは「仮定法」のwouldなのです。前文で「像は生きていた」と言っているのですから後半の文が「死んでいた」だったらおかしいですからね。
後半の文が「仮定法」の文と分かった以上、仮定法には「条件」の箇所が必要です。
この時点で「仮定法」とはなんですか?と思ってしまった英語学習者の方は以下の記事がおススメ
そう、ここではbeing deadの箇所が「条件節」なんですね。つまり
being dead
↓
If he (= the elephant) were dead
「もし像が死んでいれば」
と訳すと良いことが分かります。
最後にこの箇所を解釈しておきましょう。この箇所は名詞, 名詞と2つの名詞が連続して続いていますよね。
役割のない名詞は前後が「同格」の関係になっていることを疑ってみましょう。
the value of his tusks「牙の価値」= five pounds possibly「せいぜい5ポンド」
「もし死んでいるなら、せいぜい牙の価値である5ポンドの価値しかないであろう」
全訳:「像は生きているので、少なくとも百ポンドの価値があるが、もし死んでいるなら、せいぜい牙の価値である5ポンドの価値しかないであろう」
あとがき
今回は文頭の形容詞の解釈方法について解説させていただきました。今回のテーマである「文頭の形容詞」の処理についてまとめると
① 後ろの名詞を修飾する形容詞
② 倒置の形容詞
③ 分詞構文のbeingの省略
と3つのパターンがあると分かります。
やっぱり最難関はbeingが省略されている「分詞構文」の一角である形容詞の用法ですね。ぜひモノにしていただければと思います。
また会いましょう。
文頭の学習手順がよく分からない、という方は以下の記事を確認してみてください。
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