この記事は
「英文の主語が『人』ではなく『人以外』の名詞が来た場合、英文が訳しにくいです。上手い訳し方のコツとかはないでしょうか?」
と悩んでいる英文解釈学習者に向けて記事を書いています。
●こんにちは、まこちょです。
英文に限らず、文章は「意思」を持っているものが主語にくることを前提に作られています。ですから以下のような出だしは比較的読みやすいんですよね。
He plays…
「彼は…をする」
Bob read…
「ボブは…を読んだ」
ところが、これが意思を持たないもの、つまり「人」以外の名詞が主語になると英文に限らずすべての文章が読みにくくなるんです。
The news made me…
「そのニュースは私を…」
A helmet keeps her…
「ヘルメットは彼女を…」
このように意思を持っていない「人」以外の主語作られている英文を「無生物主語」の文といって、訳し方には若干のコツが必要です。
そこで今回は無生物主語構文の訳し方のコツを徹底解説!意外なほど簡単に処理することができるのですが、訳し方を知っているのとそうでないのとはえらい違いです。
この記事を読むと以下の点であなたの英文解釈力は著しく向上します。
▶無生物主語構文を自然に訳せると日本語訳が脳に残りやすくなる
ぜひマスターしていただいて今後の英文リーディングにお役立てください。
無生物主語構文の特徴
無生物主語の英文は独特な形をしています。したがって慣れると一発で無生物主語用の訳し方を使わなければと分かります。
無生物主語構文の特徴としては以下の点を押さえておくと良いでしょう。
【無生物主語の文の特徴】
②文型はSVOOかSVOCが多い
③目的語(O)に「意思」を持つ名詞が来る
④直訳すると変な日本語になる
例えば以下の例文は典型的な無生物主語構文の英文です。
例①
The news made me happy.
⇒主語がThe news(無生物)
⇒文型はSVOCの第5文型
⇒目的語(O)にme(人)
⇒直訳「そのニュースは私を幸せにした」?
例②
This road will take you to the station.
⇒主語はThis road(無生物)
⇒文型はSVO(第3文型)
⇒目的語(O)はyou(人)
⇒直訳「この道はあなた(人)を駅に連れて行くだろう」?
というふうに無生物主語構文はその形に共通点があることが分かります。
無生物主語の文に出会ったら意訳する
「あ、無生物主語の文だ」と思ったら積極的に意訳しましょう。というのも直訳で英文解釈をしたとしても、日本語として普段は使わない訳が出てきますし、あまりに日本語として不自然な訳だと、頭に意味が定着しにくくなるからなんです。
もちろん意訳といってもコツがあります。以下の点に注意して訳出を工夫してみると良いでしょう。
無生物主語の英文の意訳の仕方
- ① 主語 ⇒ 副詞的に「~のおかげで・~のせいで」と訳す
- ②目的語(O)⇒主語として訳す
- ③英文にあった動詞の訳を入れる
例えば先ほどの例①ですが
The news(S) made(V) me(O) happy(C).
主語のThe newsは無生物主語なので、「そのニュース【は】」とやらずに、副詞的に訳していきます。ここでは「そのニュース【で(のおかげで)(のせいで)】」とします。
次に目的語(O)(青い箇所)を見てみます。目的語(O)は通常、「~を・~に・~と」と訳しますが、無生物主語構文の場合は、ここを主語として訳します。つまり「~は・~が」と訳すんですね。
すると出来上がる訳が以下のようになります。直訳と意訳を比べてみてください。明らかに意訳の方が、日本人の私たちに親しみやすい、脳に残る訳になっていることに気づくはずです。
直訳「そのニュースは私を幸せにした」
意訳「そのニュースで私は幸せになった」
やはりいくら訳したとしても「頭」に残らないような訳出では意味がないですから、無生物主語構文を見たら積極的に「意訳」するようにするといいでしょう。
無生物主語構文の意訳例
以下の例文はよく見る無生物主語の文です。直訳パターンと意訳パターンを比べてみてください。
例
This road will take you to the station.
直訳「この道はあなた(人)を駅に連れて行くだろう」
意訳「この道を行くと(あなたは)駅に着く」
例
The rain prevented him from going out.
直訳「雨は彼を外出することから妨げた」
意訳「雨のせいで、彼は外出できなかった」
prevent A from ~ing「Aを~から妨げる」
例
The hard work cost him his health.
直訳「きつい仕事は彼に健康を犠牲にさせた」
意訳「きつい仕事のせいで、彼が健康を損なった」
cost+A+B「AにBを犠牲にさせる」
以上を踏まえた上で本日の英文リーディング課題を読んでみましょう。楽に無生物主語が訳せるようになるはずです。
無生物主語構文の練習問題
Although geographic isolation has made them conscious of learning from abroad, it has also allowed them to develop one of the most distinctive cultures in any civilized area.
※ themは「日本人」
【単語・表現】
- geographic isolation「地理的な孤立」
- conscious of 「~を意識する」
- allow A to V「AがVするのを許可する」
- develop「発展させる」
- distinctive cultures「際立った文化」
- any civilized area「あらゆる文明圏」
解説
従属接続詞のalthoughから始まるこの英文ですが、「接続詞のついたS+Vは、主節の文になれない」というルールは極めて重要。したがってこの時点で
(Although S+V… ), S+V~
「SがVだけれども、SがVだ」
と英文が展開していくのは予測しておいてもいいですよね。
英文中で主節の英文を見つける方法については以下の記事で具体的に紹介しています。
それよりも重要なのがgeographic isolation「地理的な孤立」が「無生物主語」であることです。
この文はSVOCの第5文型の「無生物主語構文」。したがって上記のルールに従って訳出します。
geographic isolation(S)を「地理的な孤立【によって】」と副詞的に訳し、them(O)を「日本人【が】」と主語として訳すとこなれた日本語訳になります。
「地理的な孤立によって、日本人は…を意識するようになったが」
learning from abroadは「海外から学ぶ」
カンマを挟んでSVOCの第5文型の文です。itは代名詞ですが、このitが指しているのはgeographic isolation。
つまりまた無生物主語の文なんですね。allowはallow A to Vで「AがVするのを許す」ですので、やはり主語を副詞的に訳していきます。
「it = 地理的な孤立のおかげで、日本人は…を発達させることができたのである」
全訳:「地理的に孤立していることによって、日本人は海外から学ぶことに意識的になったが、その孤立のおかげでまた、あらゆる文明圏で見られるもっとも際立った文化の1つを発達させることができたのである」
あとがき
今回は無生物主語構文の訳し方について解説しました。
無生物主語構文の訳し方は正直言って和訳問題に絡んでいなければ、直訳調で読んでいっても何ら問題はないのですが、普段なじみやすい日本語に訳を修正することによって、より英文が何を言っているのか、頭に定着させやすいというメリットがあります。
直訳調と意訳調を自由自在に使いこなすことによって、無生物主語構文を完全にモノにすることができます。ぜひマスターして今後の英語学習にお役立てください!
また会いましょう。
今回の無生物構文は「特殊構文」の1つですが、英文には意外な形をした構文が結構あります。まとめてじっくり学習されたい方は以下のカテゴリをのぞいてみてください。
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