この記事は
「分詞構文って~ingからスタートすると学習したのですが、たまにどう見ても~ingの形ではない分詞構文の形を見ることがあります。これは分詞構文の例外なのですか?」
と分詞構文について疑問を持っている英語学習リーディング学習者に向けて記事を書いています。
●こんにちは、まこちょです。
分詞構文という単元に関してどことなく苦手意識を持っている方は多いような印象を持っています。あくまでも私の主観なんですが。
分詞構文は~ingと現在分詞からスタートする用法で、その用法も独特。接続詞+S+Vの接続詞を消して、主語も主節と同じならばやはり消し、動詞(V)を~ing形にするのが分詞構文の基本的な用法なのです。
なぜそのようなことをわざわざしなくてはいけないのか?という感覚がどうも英語学習者にはあるらしく、その点については私は否定しません。
分詞構文の基本的な用法については以下の記事を読んでみてください。意外に難しいんですよ、この用法。
しかもこの分詞構文の嫌なところは、いつも~ingの形ばかりじゃないところなんです。
~ingで始まる分詞構文だっていやなのに、それ以外の形の分詞構文があるなんてもはやイジメと言ってもいいでしょうね。ですが現実問題、~ing形でスタートしない分詞構文なんてザラです。
そこで今回はこんな分詞構文もあるよ、ってな分詞構文のパターンを完全網羅!
分詞構文の~ing以外のパターンを初めから押さえてしまえば、英文で出て来ても冷静に対処することができるようになります。
それほどパターンは多くないので、いっそのこと~ing以外の形で始まる分詞構文の型を覚えてしまった方が効率がいいかと。
以下の記事を最後まで読んでいただけると、次の点であなたの英文リーディング能力は大幅に向上します。
▶実はすべての分詞構文は同じ考えで出来上がっていることが分かる
ぜひマスターしていただいて、今後の英語学習にお役立てください。
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分詞構文は~ing形からスタートするのが基本
まず、分詞構文はどんな種類であれ~ing、つまり現在分詞から始まることが基本です。
例①
When she saw me, she ran away.
↓
Seeing me, she ran away.
「私を見ると、彼女は逃げた」
この例文は分詞構文の極めてオーソドックスなパターンですが、分詞構文には【一見】~ing形から始まっていないように見える形があるんです。
例えば以下の例文なんて有名ですよね。
例②
Seen from the plane, the island looks like a ship.
「飛行機から見ると、その島は船のようにみえる」
この英文は文の初めが現在分詞ではなく、seenと過去分詞でスタートしています。これは一体何が起こっているのでしょうか。
例②のもともとの形を見てみると
When the island is seen from the plane, it looks like a ship.
でした。ポイントはthe island「島」が主語なので、「島が【見る】」のではなく「島が【見られる】」、つまり受け身の関係になっていることが分かることが重要です。
この形を分詞構文化すると、まず接続詞を消して、主語(S)も主節の主語と同じなので消します。
When the island is seen from the plane, it looks like a ship.
↓
動詞isを分詞(being)にし
↓
Being seen from the plane, it looks like a ship.
と分詞構文の形が完成します。ですが分詞構文には面白いルールがあり、Being (Having been)で始まる分詞構文はそれぞれ省略できるんです。つまり
(Being) seen from the plane, it looks like a ship.
↓
Seen from the plane, it looks like a ship.
となるわけです。
ちなみにhave been…の時のパターンも以下の通り。
例
As the book had been printed in haste, it had many mistakes.
↓
(Having been) printed in haste, the book had many mistakes.
↓
Printed in haste, the book had many mistakes.
「急いで印刷したので、その本には誤植が多い」
Beingだけじゃなく、Having been の形も省略されるのは盲点ですのでしっかり押さえておいてください。
なにも分詞構文のBeingが省略されるのは「受動態」だけじゃない
このBeingが省略される形は、やたらに「受動態」のパターンのときに紹介されるので、いつしか受動態の時【だけ】Beingが省略されると思われがちです。
ですが分詞構文でBeingが省略されるのは何も「受動態」だけではありません。例えば以下のような場合でも省略されます。
例
As you are able to operate a computer, you will be hired.
「コンピューターを操作できるので、あなたは雇ってもらえるでしょう」
この文を分詞構文にするとBeingが文頭に来るのですが、Being 形容詞の形でもやはりBeingが省略されるのは変わりません。
(Being) able to operate a computer, you will be hired.
↓
Able to operate a computer, you will be hired.
そうすると、いきなり形容詞からスタートする分詞構文が出来上がります。マジか…
しかもですね、まだあるんですよ。例えば次のようなパターンなんて相当難易度高いかと思うんですよね。
例
The daughter of a well-known doctor, she has gone to Clayfield College.
「彼女は有名な医者の娘で、彼女はクレーフィールド大学へ行った」
分詞構文の文頭のBeingが省略されるのは、何も「受け身」や「形容詞」の時だけではありません。なんと「名詞」の前のBeingだって省略されるんです。
She is the daughter of a well-known doctor, and she has gone to Clayfield College.
↓
(Being) the daughter of a well-known doctor, she has gone to Clayfield College.
↓
The daughter of a well-known doctor, she has gone to Clayfield College.
分詞構文のなかでも非常に難しい形ですね。
以上のことを踏まえた上で、今回の課題例文にチャレンジしてみましょう。一見「?」と思えるような形でもこれはもしかして分詞構文Beingの省略??と思えるようになるから不思議です。
~ing以外で始まる分詞構文の英文課題
Rigid in my bed, I waited for my mother to leave the room, wondering if I would get over all this with time.
【単語・表現】
- rigid 「硬直して」
- get over「乗り越える」
解説
rigidは形容詞。つまりこの英文は形容詞からスタートするちょっと異質な英文ですね。
形容詞は名詞を修飾するか動詞の補語(C)になるかの2パターンしかありません。後ろにinがあるこの形で、Rigidが名詞を修飾しているわけはないですから、ここでは動詞の補語(C)であると推測できますよね。
そうするとrigidはこのままでは補語(C)になれません。だって前に【動詞がないから】。
そうそこで今回の課題を投入する時です。もしこの文が分詞構文のBeingが省略されていると考えれば、いろいろなことが分かってくるんです。まずBeingを補い
Being rigid in my bed, I waited…
beingの主語がないのは、主節の主語(S)と同じだから補って、
I was rigid in my bed, I waited…
「私は自分のベッドで硬直して、(そして)…を待った」が解釈としてはベストと思ったのでandを加えていきます。
I was rigid in my bed, and I waited…
「私はベッドで硬直して、(そして)…を待った」
なんかこんな風にスムーズに英文解釈できると気持ちいいですよね(笑)
to leave…と不定詞句の前にfor my motherと意味上の主語(S)がありますね。
もちろんこのfor my motherを「私の母にとって」と解釈するのはNG。あくまでもleaveの主語なんだよ、と誰が見ても分かるように訳すのがコツです。
したがってここは「私の母【が】部屋を去るのを待った」と訳すのが鉄板セオリー。
不定詞の意味上の主語の処理が甘かった…と思った方はぜひ以下の記事を読んでみてください。「不定詞の意味上の主語の処理方法について徹底的に理解できるはず!
この英文はなかなか学習のしがいがあります(笑)the roomは名詞、そして後ろwonderingと~ing形。
そう、これは名詞+~ing形の形。
こんな時はthe roomがwondering以下の主語になれるかどうか考えるんです。そうすると一発で「それはないわ~」と思うんです。このチェックが非常に大事。
だってthe room (is) wondering…「その部屋【が】不思議に思う」わけないじゃないですか。
そう、この時点でこのwondering…以下がthe roomにかかる現在分詞じゃねぇ、これも分詞構文か…!と考えられるのが英文リーディングの「実力」というやつなんです。
分詞構文と考えられたみなさんは、wonderingの主語も全体の主語(S)と同じ!?と思いつつ訳を合せていきます。すると
… the room, and (while) I wondered if I would get over all this with time.
「(そして)時間が経つとこれらのことをすべて乗り越えられるだろうかと思いながら」
名詞+~ingの解釈方法は深いです。以下の記事にあらゆるパターンを網羅していますのでぜひ立ち寄っていただければ幸いです。
全訳「私は自分のベッドで硬直して、時間が経つとこれらのことをすべて乗り越えられるのだろうかと思いながら、母が部屋を去るのを待った」
あとがき
今回は~ing形以外の形をとる「分詞構文」の種類について解説しました。
~ing形以外の分詞構文の形をまとめると
- ① 過去分詞~, S+V…
- ② 形容詞~, S+V…
- ③ 名詞~, S+V…
というパターンが分詞構文にあるのですが、大事なことはこれら①~③の分詞構文もよくよく観察してみると、現在分詞のBeingが省略されているだけで、結局分詞構文は【~ingの現在分詞からスタート】という点は変わらないという事実です。
また、今回は「文頭」で使うパターンをご紹介していますが、以前にも別記事で解説したように、分詞構文は「文頭」だけじゃなく、「文中」「文末」にも使うことができます。
そしてそれは今回のようにbeingが省略された形でも同様であるということは覚えておきましょう。
ぜひマスターして今後の英文リーディング学習に弾みをつけてくださいね、また会いましょう。
分詞を徹底的に極めたい!そんな人は以下のカテゴリ一覧で確認してみてください。分詞構文でハマりそうなポイントを確認することができます。
「分詞構文」を集中して徹底的に学習したい人は以下の記事をのぞいてみてください。分詞構文のつまづきやすい点と学習手順がはっきり分かります。
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