この記事は
「分詞構文を学習しているとき『懸垂分詞構文』というものを発見しました。懸垂分詞構文とは何でしょうか?」
という疑問に応えた記事になっています。
●こんにちは、まこちょです。
英語の単元に「分詞」という項目があり、その中に「分詞構文」という用法があります。もちろん英文リーディングにも頻繁に登場しますので、英文解釈上、マスターするのは必須といって良いでしょう。
この分詞構文の中に「懸垂分詞構文」という種類があるんです。何か面白いネーミングなのですが、通常の分詞構文のルールとはかけ離れた、言い換えると「例外」的な分詞構文があるんです。
つまり今回ご紹介する懸垂分詞構文は分詞構文の中では極めて異質な存在なのですが、実は長文中によく登場する用法なので、今回あえて取り上げてみることにしました。
ただ、先ほども申し上げた通り、この懸垂分詞構文は、通常の分詞構文では絶対にやってはいけないタブーを犯した用法です。
したがって分詞構文についてそもそもよく知らない方は、この先の内容を読む前に、ぜひ以下の記事で分詞構文についてある程度理解していただいたほうが良いでしょう。
以下の記事を読むと以下の点であなたの英文リーディング能力が向上します。
▶懸垂分詞構文が意外に英文中で頻繁に登場することが分かる
懸垂分詞構文とは分詞構文界の異端児!?
分詞構文というのは簡単に説明すると、従属節の接続詞と主語を省略し、動詞を~ing形にする、といった極めてシンプルな用法です。
例①
Because I had a cold, I saw a doctor yesterday.
↓
Because I had a cold, I saw a doctor yesterday.
↓
Having a cold, I saw a doctor yesterday.
「風邪をひいたので、昨日医者に診てもらった」
この分詞構文の作り方で超重要なポイントは、従属節の主語は、主節の主語と同じ時に消すことが出来るという点です。例①では主語が「I」で一致しているので、従属節の主語を消すことができるわけですね。
もちろん従属節の主語(S)と主節の主語(S)が違う場合は、従属節の主語を残さなければなりません。このように主語を残すタイプの分詞構文を独立分詞構文といってちゃんと使い分けているんです。
例②
As it was fine, we decided to go fishing in the river.
↓
it≠weなのでitを残す
↓
It being fine, we decided to go fishing in the river.
「天気が良かったので、私たちは川に魚釣りに行くことにした」
ところが次の文はどうでしょうか?
例③
Driving to Chicago that night, a sudden thought struck me.
「ゆうべシカゴへ車を走らせているとき、ふとある考えが浮かんだ」
例③の英文も分詞構文が使われている文ですがどこかおかしいことに気づいたでしょうか。
Drivingの前に「主語」がありませんので、分詞構文のルール上、主語は主節の主語と同じはずです。ところが主節の主語a sudden thought「ふとある考え」をdriveの前に補っても意味が通らないんです。
When a sudden thought was driving…
「ふとある考えが…に車を走らせているとき」?
「考え」は車を走らせませんよね(笑)
このようにどう考えても従属節の主語が主節の主語と違うはずなのに、従属節の主語が消えている分詞構文を「懸垂分詞構文」と呼びます。
もちろんここではっきりと申し上げておきますが、この用法は誤りです。通常の学校文法や規範文法の観点からは全くおかしい用法なのですが、意外や意外、英文を読んでいるとよく登場するんですよね。
懸垂分詞構文の一例をご紹介します。あまりにもさりげなく書かれているので違和感なく読めてしまうのですが(笑)、冷静に英文を吟味するとおかしいと気づくはずです。
例
Walking down the boardwalk, a tall building came into view.
「遊歩道を歩いていると、高いビルが見えてきた」 (Quirk et al: 1985)
例
Eating lunch with my mother, it suddenly started to rain.
「母と一緒に昼食をしていると、突然雨が降り始めた」
例
Walking in the evening by the side of the river, a boat came by.
「夕暮れ時に、川のそばを歩いていると、船がやってきた」
何度もいいますが、この懸垂分詞構文は正規文法ではありません。したがってライティングを含め絶対にこの用法は避けましょう。
慣用的に使われている懸垂分詞構文がある!?
懸垂分詞構文は確かに通常の分詞構文の構造ではありえない形をしているのですが、じゃあ分詞構文で懸垂分詞構文を使った用法は全くないのか?と言われればそんなことはありません。
何と懸垂分詞構文は慣用的に、言い換えると熟語的には普通に使われているのです。中には見たことがある形があるかもしれません。
● Judging from~「~から判断すると」
例
Judging from her expression, she must be glad.
「表情から判断すると、彼女はうれしいに違いない」
例えばこのJudging fromは「~から判断すると」と表現する分詞構文なのですが、判断しているのはshe「彼女」ではありません。
judgeしているのは「一般の人」です。したがって本来はYou / We / Theyなどが主語のはずですので、主節の主語sheとは違うはずですよね。
このように主節の主語とは違うにもかかわらず、「熟語」的に分詞構文を使っている表現は他にもあります。以下の慣用的な分詞構文の例を覚えておくと良いでしょう。
● Strictly/Frankly/Roughly/Generally/Practically speaking,「厳密に/率直に/大雑把に/一般的に/現実的に言って」
例
Strictly speaking, a tomato is a fruit.
「厳密に言うと、トマトは果物です」
例
Practically speaking, Tamuramaro can be seen as the first Seii Taishogun
「実質的な意味では、田村麻呂が初代征夷大将軍とも考えられる」
●Talking / Speaking of 「~といえば」
例
Speaking of music, do you play any instrument?
「音楽といえば、君は何か楽器をやりますか」
他にもConsidering of~「~について考えると」などもあります。
主節の文全体を主語にする分詞構文
また、例外的な分詞構文の用法としてなんと主節の文全体を主語にする分詞構文があるんです。これも主語が異なっているという点で「懸垂分詞構文」の一種と考えてもよいかもしれません。
例
He constantly overworked, bringing on a nervous breakdown
「彼はずっと働き過ぎをして、神経障害をもたらした」
bringingの主語はHeではなく、He constantly overworked全体になっています。
この主節全体を分詞構文にする用法は以下の記事で徹底的にまとめています
懸垂分詞構文とは何か?についてのまとめ
今回は懸垂分詞構文の用法についてまとめてみましたがいかがでしたでしょうか。最後にこの分詞構文の取り扱いについてまとめますので参考にしてみてください。
【懸垂分詞構文についてのまとめ】
- ①通常の分詞構文のルールから外れた「例外的事項」である
- ②通常ライティング等で使用するのは避けた方がよい(特に大学入試に絡んでいる場合は要注意!)
- ③慣用的な懸垂分詞構文はある
ぜひマスターして今後の英語学習にお役立てくださいませ、また会いましょう。
分詞構文についての学習手順がよく分からない人は、以下の記事を参考にしてみてください。分詞構文の基礎から、よく質問が出る注意ポイントまで徹底的に学習手順をまとめています。
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