この記事は
「(前置詞+)関係代名詞の訳し方が分からないものがあります。the ease with which~やthe extent to which~などがそうなのですが、このほかにも初めから(前置詞+)関係代名詞の用法で、訳し方を知っておいた方がいい先行詞ってありますか?」
という疑問に答える記事になります。
●こんにちは、まこちょです。
英語には関係代名詞を使った英文がありますが、通常、関係詞節以下を先行詞にかければ文意が取れるようなものがほとんどです。それは前置詞+関係代名詞といえども同じです。
例
I well remember the day on which we both met.
↓
I well remember the day ⇐[on which we both met].
「僕たち2人が会った日をよく覚えているよ」
このとき前置詞+関係代名詞の箇所は基本的に【無視】して先行詞を修飾すれば問題ないんです。非常に簡単ですよね。
ところがですね、この前置詞+関係代名詞の解釈ですが、上記のように先行詞を修飾するだけでは、意味が今一つしっくりこない英文があるんです。
例えば一例をあげますが、先行詞がthe easeの関係代名詞用法があります。形上は次のようなパターンになるのですが、これって訳せますか?
【the ease with which~】
例
We were surprised at the ease with which she climbed the mountain.
細かいお話は省略しますが、これで「我々は、彼女が(なんとも)簡単にその山に登るのでびっくりした」と訳すんです。マジかよ!?と思った人、大丈夫です、かなり正常です(笑)
ちなみにこのthe ease with whichの訳し方については別記事で徹底的に攻略しています。よろしかったら後でのぞいてみてください。
このように、関係代名詞を使った英文は、【先行詞の種類によってはある程度訳し方をはじめから覚えておいた方が、むしろスムーズに訳せるものがある】ということは理解しておいた方がいいです。
しかも、そのような先行詞が思った以上に種類が多いんですよね。
そこで今回は、the ease with which~のように、最初から訳し方を知っておいた方がよい先行詞の種類を完全にご紹介します。
もちろんそれぞれの先行詞にはそれなりの「理屈」というものがあるのは百も承知ですが、その理屈を英文リーディング中に考えてしまうと、リーディング速度が一向に上がらないため、それならある程度「形」で覚えてしまおうというコンセプトです。
以下の記事を最後まで読むと、次の点であなたのリーディング能力はグレートアップします。
▶ 意外に訳し方に工夫がいる先行詞は多いことが分かる
ぜひ会得していただいて今後の英語学習にお役立てください!
この先行詞に要注意!これが訳し方に工夫が必要な先行詞だ
非常に頻出度合いが高い先行詞から、順にご紹介しますね。
① the extent [degree] to which S+V
まずは、これこそ訳し方を知らないと英文リーディングで大苦戦するであろう形からご紹介します。以下の例文をご覧ください。
例
We often fail to realize the extent [degree] to which we depend on others.
引用:ジーニアス英和辞典
さてどうでしょう。the extent [degree] to whichの部分ですが訳せるでしょうか。
そもそもこの表現は前置詞toとくっついてto some extent[degree]「ある程度」という表現で使います。
例
His opinion is right to some extent[degree].
「彼の意見はある程度正しい」
このsomeの部分をwhatに代えて、疑問詞の一部分で使うことだってできるんです。
例
To what extent [degree] is his opinion right?
「彼の意見はどの程度正しいのか?」
ところがこの表現、extentもdegreeも「程度」という意味の名詞なのですが、この「程度」をそのまま関係代名詞節の訳出に使うと非常にぎこちない日本語訳になってしまいます。
そこでthe extent [degree] to which S+V~は「どのくらいSがVするのか」と訳を工夫しましょう。
「SがVする程度」
⇒「どのくらいSがVするか」
例
We often fail to realize the extent [degree] to which we depend on others.
「我々はどのくらい他人に依存しているか悟らないことがよくある」
いや~これって訳し方を知らないと誰も読めませんよ(笑)
② 先行詞がthe useの場合
先行詞がthe useの場合も訳出には大変苦労する代表格です。しかもこの場合、大体は関係詞以下の動詞を含む熟語の部分が先行詞として前に出る場合が多く、やはり慣れていないと正直気づきません。
次の2つのイディオムからの先行詞パターンを覚えておきましょう。
① make (the) use of「~を利用する(使う)」
まずはmake use of「~を利用する」のuse部分が先行詞として前に言っているパターンです。これがまた訳すのが難しいんですよね。
例えば以下の例文を見てください。
例
They make (the) use of the book.
「彼らはその本を使う」
このuseを先行詞として前に出すんです。
(the) use which we make of the book.
「私たちのその本の使い方」
ちなみにこのmake (the) use of、受動態にしたときに、(the) useの部分を主語にすることが出来ます。上記の例ですと
They make (the) use of the book.
↓
(The) use is made of the book (by them).
この受動態の形のthe useを先行詞にするパターンもありますよ。
(the) use which is made of the book.
「その本の使い方」
例
They don’t understand (the) use which is made of the book.
「その本の使い方を彼らは理解できない」
① the use which S make of A
② the use which is made of A
⇒「(Sの)Aについての使い方」
② put ~ to use「~を利用する(使う)」
(the) useが関係詞の先行詞になる、もう一つの熟語がこれ。put A to useで「Aを利用する(使う)」という熟語があるんです。そしてこの(the) useも先行詞として前に移動することができるんですね。
例
I put this experience to use.
「この経験を活かした」
useを先行詞にすると
(the) use to which I put this experience
「(私の)この経験の使い方」
もちろん受動態の形もあります。
This experience was put to use.
「この経験が利用された(役に立った)」
↓
(the) use to which this experience was put.
「この経験の使い方」
例
I studied hard (the) use to which this experience was put.
「この経験の使い方を一生懸命学習した」
① the use to which S put A
② the use to which A is put
⇒「(Sの)Aについての使い方」
③ There is a ~ sense in which S+V
通常There is(are) Aの構文は、Aが主語(S)ですので「Aがある(いる)」と訳すのが普通です。
ところがこのAがある単語で、後ろの関係代名詞節の先行詞になっている場合はこのAを主語(S)として訳しても全く訳になりません。そう、それがa senseです。例えば次のような例文はどう訳したらよいでしょうか?
例
There’s a sense in which this applies to all such cases.
引用:研究社 新英和中辞典
この文を「このことがすべてのそのような場合に当てはまる意味がある」と訳しても、何のことやらさっぱりわかりません。ここは以下のように訳すことを覚えておきましょう。
⇒「ある意味では、SがVだ」
ですからこの例文は「ある意味ではこのことがすべてのそのような場合に当てはまる」と訳出すればバッチリです!
例
There is a sense in which he is genius.
「ある意味、彼は天才だ」
④ the way in which S+V
ある意味この形が一番訳しにくいのではないでしょうか。そう、先行詞がthe wayの場合のパターンです。
もともとthe wayは関係副詞howの先行詞ですが、英文法ルールのお約束としてthe wayとhowは一緒に使ってはいけないことになっています。
したがってthe way how~という形を避けるために、先行詞のthe wayを消してhow S+Vとして使ったり、その逆でthe way S+Vで使ったりするのです。もちろんthe wayとhowが「同時に」使うことが出来ないだけで、その他の関係代名詞(副詞)とは一緒に使うことが可能です。
例えばthe way in whichですが同様の意味で次のように表現することもできます。
the way in which S+V
= the way S+V
= the way that S+V
= how S+V
= the manner in which S+V
たくさんありますね。基本の訳し方は「SがVする方法」です。
the way he talks
「彼の話し方」
the way she dresses
「彼女のファッション」
the way you look at things
「あなたの物事のとらえ方」
ですがwayというのはたくさん意味を持っていて、コアな意味に「道」というイメージがあります。したがって
● wayの意味
手段の道 ⇒方法、手法、手段
物理的な道 ⇒ 道、行き方、通路
理由と原因を結ぶ道 ⇒ しわざ、原因、理由
という風に文脈に応じてさまざまな訳を作ることができることは覚えておくと良いでしょう。
また、このwayの意味を軸にしてthe way you are で「そのままのあなた」なんて訳す場合もあります。以下の記事に具体的に解説していますので確認してみてください。
例
I made the cake in the way in which my father had told me.
「私は父が言った方法でケーキを作った」
初めから訳し方を知っておいた方がいい先行詞:まとめ
さて、今回は(前置詞+)関係詞の前の特殊な先行詞についての訳し方について解説しましたがいかがでしたでしょうか。
どの先行詞も「理屈」では最終的に適切な訳を与えられるかと思うのですが、ある程度サクサクと英文を読み進めるためには、理屈を知ったうえで訳し方を覚えてしまったほうが効率がよい先行詞もあります。
今回の先行詞はどれも英文でよく登場するものですのでまとめて身につけておくとあなたの武器になります。まとめると
① the extent [degree ] to which S+V
「どのくらいSがVするか」
② the use which S make of A / the use which is made of A
「(Sの)Aについての使い方」
③ There’s a sense in which S+V
「ある意味では、SがVだ」
④ the way in which S+V
「SがVする方法」を基本とする
です。ぜひマスターしてくださいね!
また、会いましょう。
コメント